プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:松田由希菜氏
今回のインタビューは、2019年度TOMODACHIサマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラムおよび、TOMODACHI 日本アムウェイ財団 東北ミライリーダー・プログラム2024 事後研修サポートに参加し、現在は早稲田大学教育学部社会科公共市民学専修の3年生である松田由希菜氏にお話を伺いました。
松田由希菜氏は、高校1年生の時に参加したTOMODACHI サマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラムの事後アクションとして、「点字ブロック×アート」を実施しました。この活動では、点字ブロックを使ったアートプロジェクトを通じて、視覚障害者への理解を深めるとともに、地域社会に貢献することを目指しました。また、早稲田大学では社会学を専攻し、平山郁夫記念ボランティアセンターの「早稲田ボランティアプロジェクト」にて「陸前高田プロジェクト」にも参加しています。
Q1. TOMODACHIサマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラムに参加しようと思ったきっかけは何ですか?
中学3年生の時点で、「絶対このプログラムに参加する!」と決めており、高校入学後すぐ申し込みました。きっかけとしては、中学生の頃から地元である岩手県陸前高田市で「何か自分たちにできることをやってみよう」といった目標を掲げた地域貢献を推進する学生団体に所属しており、その当時から「まちで何かしたい」「自分の思いを形にしたい」という強い気持ちがありました。そんな時に、TOMODACHIサマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラムを教えてもらい、海外への興味以上に、リーダーシップや自分でアクションプランを作ることに物凄く惹かれ、迷わず参加を決意しました。
Q2. このプログラムに参加した経験を表す三つの言葉は何ですか?また、それらを選んだ理由は?
1)人を頼る、信頼する
元々全部自分でやってしまう性格だった上に、それが正解だと思い込んでいた部分がありました。しかし、TOMODACHIプログラムに参加し、本当に皆さん凄い人ばかりで、自分一人でやるよりも、みんなでやった方が良い物ができる、ということにその時気づかされました。例えば、話すのが得意な〇〇さんにこれをお願いして、絵はこの人に担当してもらおうなど、チームでの活動だったからこそ人を頼る、任せることができたと考えています。
2)仲間ってこういうものなんだ
プログラムの参加者数が100人程いる中、顔見知りの人は数人しかいませんでした。そんな状況下でいきなり、短期間で「仲間」になる必要がありました。当然、全員が同じ方向を向いているわけではなかったのですが、それぞれが仲間に対して向き合っているように感じました。個人的に、TOMODACHIの仲間は、「太く短い関係」というよりかは「細く長い関係」だと思っています。これは、自分が何か取り組んでいる物がある際には応援してくれたり、InstagramやFacebookにこんなのやったよと投稿するTOMODACHIの仲間がいたら「めちゃめちゃいいね」とリアクションしたり、、、いつでも応援し合える仲間ってこういうことなんだ!と改めて考えさせられました。
3)成長、価値観の更新
プログラム参加後、かなり成長したなと感じています。具体的な言葉で表すのは中々難しいのですが、自分の中の「何か」が大きく変わったのを実感しています。
プログラムの面から述べると、「Yプラン」を勉強したことで、課題解決や自分がやりたいと思うことを形にする方法を学べたのがとても大きかったです。これは今でもかなり活かされており、ロジックを立てて何が利点なのか、のようなことも含め全てを分析し、そこから企画とかを始めるなど・・・。これらは「Yプラン」をやっていなければきっと経験できなかったことだろうな、と思っています。これらを高校生であるうちに、さらに高校1年生の時に勉強できたのはとても素晴らしい経験だったと思います。
Q3:元々ロジカルな考え方が「Yプラン」を通してさらにレベルアップされたのですか?それとも全く違う考え方だったけれど、プログラム後、ロジカルシンキングできるようになったのでしょうか?
100パーセント後者です!
元々、直感で動くタイプなので、「これ良さそうだからやろう」や「面白そうだからやってみよう」という思考プロセスでした。
今でも、そのような考え方でも良いことはあるし、時と場で使い分けることは大切だと思います。しかし、「面白いからやろう」で実際やるには、人にちゃんと納得してもらう必要があります。自分では「面白い」と思っていても、相手には「よくわからない」や「それは必要ない」と思われてしまうこともあります。それをロジック立ててこうすると、結果こうなります、のようなことを自分で考え、言葉にすることができるようになりました。
Q4:アメリカでのカルチャーショックはありましたか?
本当にたくさんありました。アートや福祉の話で言うと、なんとなくですが、日本よりもカリフォルニアの方が、車いすなど障害を持った人が「自力で動いている」ように感じました。日本では、自分の大学でも、車椅子の学生にはサポートが必ず入っています。しかし、アメリカでは、「自分で動いて当たり前」のような風潮を感じたし、バークレーの大学内でも同じような光景でした。
それを見ていると、マジョリティーやマイノリティー、障害持ってる持ってないではなくて、自分でできることはするし、きっと必要な時にサポートが欲しい、と言える環境なんだろうなと感じました。この違いと気づきは、自分のアクションプランのヒントにもなりました。
Q5:プログラムの中で一番思い出に残っていることは何ですか?
最終日のパーティー後に行われたチームのお別れ会が一番の思い出です。現地では、1チームにふたりの大学生のメンターさんが付いてくれるのですが、お別れ会に向けて高校生のみんなで、一人のメンターが好きだと話していた歌を全員で練習して、当日歌のサプライズをしました。これは私にとって、夏の思い出だし、アメリカの思い出だし、チームの思い出でもあるので、とても感動的なエピソードです。メンターも私たち参加者とそこまで年齢が離れている訳ではなかったので、「お姉さん」「お兄さん」のような存在でした。その人達に最後、プレゼントと歌を届けることができたのは本当に良い思い出として残っています。
Q6:逆に、プログラム中で一番苦労したことは何ですか?
プログラム前半に、チームで「Yプラン」のプランを発表するのですが、それを全て英語で準備なければいけなかったことです。英語を学ぶためのプログラムではなく、リーダーシップを学ぶためのプログラムだったので、基本的にネイティブレベルで英語を話せる人がいませんでした。それで、自分たちで何度も翻訳を通してスクリプトを書き、それを読む練習など本当にたくさんしました。このように、母国語以外の言語になった瞬間、上手く伝える方法が分からず、改めてコミュニケーションって難しいなあと痛感させられました。そのため、プレゼンテーションの準備も夜遅くまでやったり、とても苦労しました。
—やはり英語でのコミュニケーション、プレゼンの準備が一番苦労されたんですね!
はい、それに加えて、最初の1週目ぐらいの段階だったので、まだチームもすごい仲良いわけではない、ぎこちない雰囲気がありました。そんな中のチームでの作業で、これはどうしよう、誰が仕切るんだろうといった不安も含めて準備は大変でした。
それでも2、3週目は、移動時間などで思っていたより雑談する時間もあったりしたので徐々に打ち解けることができました!
Q7:このプログラムで主に何を学びましたか?
まず、「Yプラン」は本当に学びが多かったです。あとはやはり仲間やチームで活動することの楽しさだと思います。
Q8:このプログラムでの経験は、あなたの興味関心分野やキャリアパスに影響を与えましたか?もしそうであれば、どのように現在のあなたの生活や考え方に影響を与えていますか?
かなり影響していると実感しています。きっとTOMODACHIのプログラムに参加していなければ、今、まちづくりをやりたい!とも思っていなかったかもしれません。あと、高校2、3年生での探究活動で福祉やアート、そこから発展して福祉に力を入れている北欧のフィンランドやスウェーデンなどに興味を持ったり… 海外に対する興味やグローバルに夢を広げたいという気持ちが芽生えたのも、TOMODACHIプログラムを体験しなければ無かったかもしれません。
現在の生活や考え方の面では、街づくりを通していつかは地元である岩手県陸前高田市で何かやりたいと思っています。
—まさにTOMODACHIの目的を体現していますね!いつかは地元に帰って社会貢献したいということですが、最初の就職はまだ東京に残って数年経ったら戻るのか、すぐ帰省して働きたいのか、どちらを考えていますか?
岩手に帰りたい気持ちと東京でもう少し学びたいという気持ち、どちらもあります。でも今のところは、まず東京で就職したいと考えていて、その理由も、すぐ帰っても、大学のたった4年間だけで帰ってしまったらあまり意味がない気がしてしまいます。少しでもしっかりとしたスキルと経験を培ってから帰った方が、より質の高い活動ができると考えます。だから、自分のやりたいことをやりつつ、東京にはもう少し残って学び続けたいです。
Q9:あなたの将来の目標は何ですか?(人生の目標)
やりたいことが確定している訳ではないのですが、いずれかは地元に帰って、岩手陸前高田市のために何かできればと思っています。
小学校の先生に言われた「恩送りをしなさい」という言葉がずっと頭に残っています。「恩返し」は、例えば東日本大震災で数えきれないほどたくさんの支援をしてくれた方々がいて、「その人たち一人一人に恩を返すことができないんだから、自分ができることで違う誰かに恩を送りなさい」という言葉が今でも心に残っています。そこで、自分が恩を送りたい相手は誰だろう?と考えた時に、やはり地元の方やお店に恩を返したい、送りたいという答えが出たので地元には必ず帰ると思います。
Q10:TOMODACHIはあなたにとって何を意味しますか?
「原点」です!
今の自分があるのはTOMODACHIプログラムに参加していたからといっても過言ではありません。同じプログラムに参加した友達にもたくさんの刺激と影響を受けています。
Q11:TOMODACHIコミュニティーがユニークで興味深いと思う点は何ですか?
応援し合えることと繋がっていなくても繋がっている感じです。TOMODACHIの同期の人が頑張っているのを見ると、ああ自分もやらなきゃと思います。また、ずっと一緒にいるわけではないけれど、日々濃密に影響し合えているところはユニークかなと思います。
Q12:TOMODACHIコミュニティーに向けて、アドバイスやシェアしたいことはありますか?
絶対にいい出会いが待っているから、勇気出して迷わずに参加してみて欲しいです!
このインタビューは2024年7月25日、坂井美月によって行われました。彼女は現在、TOMODACHI アラムナイ・リーダーシップ・プログラムのインターンであり、TOMODACHI – U.S. Embassy Go For Gold スポーツ・リーダーシップ・プログラム 2024-25の修了生でもあります。