TOMODACHI世代:熊谷 駿 氏
熊谷 駿氏は、1991年12月に宮城県仙台市で生まれ、10歳の時に小学校のブラスバンドに所属し、チューバを始めたのが音楽との出会いでした。そして音楽好きな息子を見た父親が中古楽器屋にて突然サックスを購入したことが、サックスを始めるきっかけとなったのです。奏法などの基礎を彼に教えたのは元YAMAHA大人の音楽レッスン講師、佐藤修(Osamu Sato)氏でした。
高校受験で悩んでいる15歳の時、ある深夜の音楽番組で藤陵雅裕氏(Masahiro Fujioka)のサックスの演奏を見た熊谷氏は大きな感銘を受け、プロになることを志すようになりました。その後18歳から一戸祐三郎氏(Yusaburo Ichinohe)からJazzの一形態であるBebop奏法を学び、仙台高等専門学校名取キャンパス(Sendai National College of Technology Natori Campus)電気工学科(Department of Electrical Engineering)を卒業後、神戸に所在する甲陽音楽学院(Koyo Conservatory)に入学しました。一戸祐三郎氏に師事し続けると共に、関西にてRandall Conners、古谷光広(Mitsuhiro Furuya)両氏に師事しました。
在学中より学業・演奏を評価され、甲陽音楽学院特待生に選抜された熊谷氏はジャズフェスティバル、フェリーでの演奏やジャズバーでの演奏など、関西を拠点に積極的に活動を行いました。また、2013年10月に行われた、第2回新潟ジャズコンテストにて準グランプリ、同月に行われた第5回神戸ネクストジャズコンペティションにて決勝ライブ進出をも果たしています。
2014年2月に行われたBerklee College of Music Auditionに合格し、同年9月より同校に入学しました。また、本年度より新設されたTOMODACHI Suntory Music Scholarshipに選抜され、TOMODACHIイニシアチブと共に様々な活動を行っていく予定です。
2014年10月29日、ボストンで演奏した熊谷駿氏をご覧下さい:
熊谷 駿 氏について
Q:なぜ本プログラムに応募したのですか?
私は、本プログラムを応募した理由が二つあります。
一つ目の理由としては、私自身が3年前に起きた東日本大震災を経験したということが挙げられます。地震が起きた当時は、ライフラインが全てストップし、被害状況も分からず、そしてこの先どうなるのであろうという不安の中での生活でした。その中で県外、そして海外からのボランティアの方々が被災地に来てくださり様々な救援活動をしていただきました。また自衛隊と米軍によるトモダチ作戦によって多くの命が助けられました。私は、そこで東日本大震災復興支援活動の一環であるTOMODACHIイニシアチブの存在を知りました。
私は、ボランティアをしてくださった方々への感謝の気持ちを伝えたい、そしてあの日から今日、大震災によって心を痛めている被災者へ少しでも音楽の力で癒してあげることは出来ないであろうか、と考えてきました。そして本プラグラムに参加することで、多くの音楽による支援活動が出来るのではないかという結論に至ったのです。
二つ目の理由は、音楽をもっと学びたいという気持ちからです。音楽とは不思議なもので、空気の振動に過ぎない「音」がいくつかつながることで素晴らしい「曲」が生まれます。また「音を楽しむと音楽になる」と私は、小学校の音楽の授業で教わりました。今でも私は、その言葉を鮮明に覚えております。
私は、10歳からサックスを演奏しております。始めたきっかけは、とても些細なことでしたが、年を重ねるにつれサックスの魅力へとひきこまれ、音楽の楽しさにどっぷりと浸かっていきました。また、15歳の高校受験の年に偶然テレビをつけて放映されていた音楽番組でサックスを見て、とても感銘を受けプロのサックスプレイヤーになることを志しました。
日本でも音楽教育を受けてきましたが、私が今一番勉強したい音楽は、JAZZです。やはり「JAZZといえばアメリカ!」というイメージもあると同時に「現地の物は現地で学べ」という思いが私の心の中にありました。その中で私が9月から入学予定のBerklee College of Musicは、ジャズを学べる音楽大学の一つで、日本では学べないようなことを学ぶ機会に恵まれています。たくさん学び素晴らしい演奏をお届け出来るようなりたいと思い、本プラグラムに応募しました。
Q:本プログラムから何を学びたいですか。
私の将来の夢は、音楽家になるということ同時に、自分の経験を後の世代に伝える教育者となることです。そのためには、今回の留学がとても大切になるでしょう。
特に私がこれから学ぼうとしているJAZZはアメリカ発祥の音楽で、日本の音楽とは異なる部分がたくさんあります。そしてジャズの最大の醍醐味である即興演奏(インプロビゼーション)は、適当や感性だけではなく、理論やコードプログレッション、それに対するフレーズなどを学ぶ必要がある、とても奥が深いものです。これらを理解するためにはやはり本場アメリカに留学することが最良の選択であると私は考えました。
本プログラムに参加できることでJAZZの心髄を学び、留学をより良いものにしたいと思います。もちろんJAZZだけにこだわらず様々な音楽へ挑戦し、学んできたことを活かし実際に演奏する機会をつかんでいきたいと思っています。
Q:アメリカに対して思いがあれば聞かせてください。
初めてのアメリカ旅行は、ボストンとニューヨーク。英語が通じずお店に入るのも怖くて、とても悔しい思いをしたのも今でも覚えています。二度目は、語学留学で一ヶ月ほどボストンに滞在しました。やはりアメリカに行って思ったことは、全ての物が大きいということでした。食べ物、お店、家、ほとんどが日本の倍はあるのではないかという程の印象です。これから色々な体験をし、様々なことを考える機会がたくさんあると思います。これから何年もアメリカで生活が出来ると思うと、楽しみでしかたありません。
本プログラムに参加出来たことで、念願のアメリカ留学が叶いました。JAZZの本場で学べるという貴重な機会をいかして、充実した生活を送りたいと思います。
- 本プログラムについて更に詳しく。