TOMODACHI世代:有本温子
有本温子さんは福島県大熊町出身で、福島原子力発電所から半径3km圏内に位置しており、帰宅困難区域に指定されました。有本さんはTOMODACHI特別奨学金でメリーランド州ボルチモア市の高校に留学して、2014年9月からワシントンDCにあるアメリカン大学で勉強しています。TOMODACHIアラムナイとして、有本さんは様々なプログラムに参加し、2015年夏インターンとしてTOMODACHIイニシアチブのオフィスで働いています。
TOMODACHIビヨンドトゥモローグローバル・リーダーシップ・アカデミー2013 & 2014
TOMODACHI サマー英語研修プログラム2014
アメリカン大学に入学する前、私はTOMODACHIサマー英語研修プログラムでメリーランドで研修を受けていた日本の高校生達に会いました。参加者達は、 ワシントンDCを訪れワシントンDC近郊に住んでいるTOMODACHIアラムナイと共に、アメリカ文化に触れるためTOMODACHIピクニックに参加しました。参加者とアメリカのアラムナイ達とは1日しか過ごせませんでしたが、それを機会にTOMODACHIアラムナイネットワークの大切さやアメリカ国内での広がりを知る事が出来ました。
TOMODACHI イニシアチブ夏季インターンシップ2015
TOMODACHIイニシアチブでインターンをする事は、初めてTOMODACHIプログラムに参加した時から私の夢でした。様々なTOMODACHIプログラムに参加する中で、TOMODACHIスタッフ達がそれぞれのプログラムに対して一生懸命働いている姿を見る機会が幾度もあり、インターンとしてこの職場の一員なりたいという思いを強く持ちました。そのため、TOMODACHIのインターンになれた時は、本当に嬉しかったです。TOMODACHIのインターンになりたいと思った他の動機は、多くの若者に”TOMODACHIファミリー”の一員になって貰いたいというものからです。インターンとして、プログラムのオリエンテーションを手伝ったり、TOMODACHIのイベントに参加して手伝ったり、ウェブサイトやニュースレターの記事を翻訳しています。私は、インターンシップを通して若者から大人までたくさんの参加者達に会う機会を貰い、私自身のネットワークを広げる事ができました。
パシフィク・フォーラムCSIS 2015
前アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントン氏とのディスカッション2012
2012年6月18日、私はTOMODACHI世代の代表として前アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントン氏の前でスピーチをする機会をいただきました。私は、東日本大震災の経験や将来の夢についてクリントン氏の前で発表しました。
私は福島県大熊町出身で、TOMODACHI特別奨学金で現在アメリカの高校に留学している有本温子です。私の家は、福島原子力発電所から半径3km圏内に位置しており、帰宅困難区域に指定され、仮設住宅で暮らす事になりました。友達や近所の人たちと離ればなれになったときは、毎日が本当に辛く大変でしたが、高校では、猛勉強して前に進む努力をしていました。しかし、震災のことはやはり頭から離れず、私には何が出来るのだろうと日々悶々としていました。そのときに、偶然高校留学プログラムの募集を見つけ、かねてから夢であったアメリカ留学のチャンスを得る事が出来ました。留学生活には多くの試練があり、日本の高校もやめることになってしまうので少し迷いがありました。しかし、震災で多くの大切なものを失った私は、無くなるものにとらわれないで、これから得ていくものをアメリカにつかみに行きたいと思いました。TOMODACHIイニシアチブは、そんな私に留学後もたくさんのチャンスを与えてくださいました。
2012年8月アメリカに渡米する前に私は、アメリカ大使館で当時米国国務長官であったヒラリークリントンさんにスピーチをさせて頂く機会を得ました。世界で活躍している方を実際に見て、将来はこのような女性になりたいと強く思うようになりました。また、今年3月のTOMODACHI BEYOND tomorrowリーダーズシップアカデミーでは、たくさんの東北の高校生達また、ルース大使をはじめとする各界で活躍されている著名な方にお会いすることが出来、私の外交官になるという夢をより具体的に考えることが出来ました。
私は、このイベントのあと、一週間ドミニカ共和国に行ってボランティア活動をしてきました。今まで、国境を越えてたくさんの方々の支援を受けて、アメリカに留学する事が出来ましたが、自分の目で今世界で起こっている問題を知り、そして彼等達になにか自分が出来る事をしたいと思っていました。しかし、実際にドミニカ共和国に言ってアメリカの高校生達と毎日ボランティア活動をしてほとんど喋る事が出来ないスペイン語を使って、現地の人たちと交流しましたが、私は彼等達から教えてもらう事ばかりで、彼等の為に出来た事が少ないように感じていました。そんな時、子供達がキラキラした笑顔で私に、ドミニカに来てくれてありがとう。私達の為に、日本からわざわざ来てくれて嬉しいと、現地のおばあちゃんは、私に美味しいドミニカ料理を手作りしてくれた事もありました。私がこの土地で何かを変えたい、助けたい、そう思っているだけでも、大きな変化を今は起こせなくても、彼等達はそれだけで嬉しいという事実に、将来は絶対外交官になって日本という国を背負って彼等達の目を背けたくなるような現実に私が向き合って彼等達の力になりたいと思いました。
このプログラムを通して思った事は今も私の大切な思い出であり、夢です。皆、出来ること、置かれている環境、住んでいる所は違いますが、それぞれがそれぞれのやり方で東北の為に、また日本の為に力を合わせて行動する事が出来るだという事をTOMODACHI プログラムやドミニカの研修で学ぶ事が出来ました。
私は、TOMODACHIプログラムに参加していなかったらドミニカに行ってボランティアしたり、東北の為に実際にアクションを起こそうと思う事が出来なかったと思います。私だけでなく、何千という数のTOMODACHIの学生は皆、プログラムを通して、自分が将来何をしたいのか、また、高校生という立場で何が出来るのかなど真剣に考える事が出来ました。TOMODACHIは、震災で前に踏み出す勇気がなかった東北の学生にとって、新たなスタートラインを作ってくれました。私達は、TOMODACHIプログラムを通して、前に進む事が出来ました。私は、来年アメリカの大学に進み、経済学や国際関係学を専攻し、幅広い視野を持った人間になりたいと思っています。
そんな私達の大切な原点を作ってくださったのは、紛れもなくルース大使です。私は、ルース大使にお会いする中で、その優しい笑顔と人柄に何度救われたか分かりません。また、ルース大使こそが私の将来なりたいグローバルリーダーの姿です。TOMODACHIプログラムを通してルース大使の姿勢から学ぶ事はたくさんありました。他者を思いやる優しい心、リスクをとる事を恐れないで挑戦する事、仕事に対する情熱。震災から二年以上たっても、東北の学生また日本に対して惜しみない努力をしてくださる姿勢に、私達は何度も心を打たれ、頑張る勇気をもらっていました。私は、将来必ずルース大使のような、みんなの居場所を作る、また新たな目標を一緒に考えられるようなリーダーになる事をお約束いたします。
これまでとこれから
様々なTOMODACHIプログラムに参加して皆それぞれ違う経験を持った参加者そしてアラムナイと会った経験は本当にかけがえのないものです。TOMODACHIイニシアチブの強みの一つとして私は、アラムナイネットワークが挙げられると思います。一人一人のアラムナイは、おもしろくそしてユニークな背景をもっていて、お互い切磋琢磨しています。そのため、プログラムが終わってからもアラムナイとしてだけでなく友人として連絡を取り合っています。また、プログラムを通して前米国駐日大使ジョン・ルース氏や前米国国務長官ヒラリー・クリントン氏といった私の目標となる人たちにお会いする機会をいただきました。その経験は、私の大学選びや将来の目標にも大きく影響を与えました。自分が具体的に将来なにをしたいのかはまだ模索中ですが、日米関係を強化することに関わっていきたいと思ってます。TOMODACHIイニシアチブは、私だけでなく多くの人たちに今後もインスピレーションや素晴らしいチャンスを与え続ける存在であると思います。