TOMODACHI アラムナイ・ ハイライト:門田美貴氏(TOMODACHI次世代サミット2025より)
今月のアラムナイ・ハイライトではNext Generation Summit 2025のTOMO Voice スピーチコンテストでスピーカーの一人を務めた門田美貴氏を紹介します。門田氏は2015年度Building the TOMODACHI Generation Programのアラムナイです。このプログラムでワシントンDCに滞在し市民社会論について学んだことで、市民の自発的なコミュニケーション活動の保障や支援に関心を持ち、とりわけ集会の自由論・集会法の研究を行っています。法学博士を取得したのち、現在は、京都大学法学研究科/白眉センターで特定助教として勤務しています。多くの国際的な研究プロジェクトに参画していますが、とりわけ、日本やアメリカ、さらにはヨーロッパ諸国の集会法の現状について研究することで、デモクラシーの現代的課題に対処しようとする研究グループで積極的に活動し、プログラムで得た知見を社会に還元する試みを継続的に行っています。
2015年、私はワシントンD.C.で「Building the TOMODACHI Generation Program」に参加しました。このプログラムは私に生涯の信念と「出る杭」としての自信を与えてくれました。日本語で「出る杭」は「目立つ釘は打たれる」という意味から、しばしば否定的なイメージを伴います。しかし私にとって、出っ張る存在になること、情熱を共有することは、自分を支え共に働く人々との素晴らしいネットワークをもたらすのです。
私を「出る杭」にしたのは、ワシントンD.C.で目撃した「市民社会」の活気でした。ある日、リンカーン記念堂前で公民権運動を訴える群衆の姿を目にしました。別の日には、メンターから市民社会がいかに米国にとって基盤であるかを学びました。このプログラムは、この偉大な歴史の一部だと感じました。歴史が証明するように、こうした運動は時に強い弾圧に直面します。こうした困難にもかかわらず、人々は自らの「声」をあげ、歴史を前進させようと試みてきたのです。
しかし、他者と繋がる自由は現在、危機的な状況にあります。公共空間からデモは排除され、公の議論は今や厳しく統制されています。これは局所的な現象ではなく、世界的な現象です。私は公の議論の力を心から信じていたからこそ、米国や中欧の学者たちと共同研究グループを立ち上げ、世界的な影響力を持つことを目指しています。
このプロジェクトを立ち上げるのは私にとって本当に困難なことでした。学界の年功序列制度のもとでは、自分のアイデアをプロジェクトに発展させる主導権を握る機会はほとんどありません。特に若い女性研究者にとってはなおさらです。しかし、国際的なイベントで人々と話し続けるうちに、ついに協力できる人々に出会いました。彼らが私の出る杭ネットワークです。その中には、非常に非自由主義的な政府のもとで学問的・社会的立場を危険に晒す者もいましたが、私の情熱が彼らの専門的・個人的価値観に共鳴したのです。異なる国で教育を受けた私たちですが、それぞれの法域を比較し、共通の問題点を探り、公共討論の危機に対する解決策を見出しています。現在では、性的マイノリティーによる集会禁止や政府による嫌がらせなど、具体的な課題に向けて協働しています。2026年3月には日本を含む複数国でシンポジウムを開催予定です。
10年前、TOMODACHIプログラムは私に、自らの情熱を信じることの大切さを教えてくれました。また、このプログラムは常に、他者を信じる人々の勇気の象徴であり続けています。あなたの年齢、性別、国籍、文化的背景は全く問題ではありません。声を共有し、出る杭ネットワークに参加しましょう。
2025年9月6日に高波爾奈がスピーチを記事にしたものです。彼女は現在TOMODACHIアラムナイ・プログラムのインターンです。