TOMODACHI世代:谷 幸穂
谷 幸穂
神戸市外国語大学の3年生
谷氏は2013年度TOMODACHI MetLife Women’s Leadership Programに参加しました。現在、模擬国連の活動に参加しています。そして来年度の模擬国連会議は、彼女の住んでいる神戸市で開催されます。彼女はこの会議において、運営委員会を取り仕切る国連事務総長役に抜擢されました。
2015年11月8日にTOMODACHI世代サミットで谷氏は140名ものアラムナイで以下のスピーチをする機会がありました。
皆様おはようございます。今日は記念すべきTOMODACHIサミットにて、皆様の前でお話をする素晴らしい機会を頂きましたことを、厚く御礼申し上げます。私は、神戸市外国語大学の3年生で国際関係学を専攻しております、谷さちほと申します。私は2年前、まだ私が1年生だった頃に、初めてTOMODACHIのプログラムに参加致しました。当時はまだ、プログラム参加者として得られる成果がこんなにも大きく、TOMODACHIアラムナイとしてこんなにも多くの素晴らしい人々と出会うことが出来るとは、想像もしていませんでした。
私は2013年、TOMODACHI MetLife Women’s Leadership Programというプログラムに参加しました。女子大学生を対象としたこのプログラムは、 様々なレクチャーやワークショップを通して参加者間の交流やネットワーキングの場を提供すると共に、学生達に人生のロールモデルとの出会いを与え、自身が持つリーダシップへの自覚を促すことを目的としています。プログラム中、参加者にはこんな質問が投げかけられます。「達成したいことは何ですか?」「どんな人になりたいですか?」「あなたが思うリーダー像とは何ですか?」これら3つの質問を通し、参加者は目指すべき目標を発見していきます。そして、その目標を達成するために必要なツールとして、経理関係のリテラシーや、その他日常にも活用できるような様々な能力や知識を、プログラム全体を通して身につけていきます。
また、日本ではまだ新しいコンセプトである「メンターシップ」という制度も取り入れられています。プログラム開始時に、大学生参加者は一人ずつ女性の中堅社員の方とペアを組みます。そしてその後の1年間、「メンター」と「メンティー」として活動を共にします。これによって、レクチャーやワークショップの内容そのものだけでなく、メンター関係にある参加者同士の交流から、多くの事を学び合えるようなプログラムとなっているのです。
日本で行われた様々なレクチャーとワークショップの後、私たち学生はニューヨークとワシントンDCへと飛びました。そこで待っていたのは、女性の社会参画が持つ意義についての深い学びと、人生のロールモデルとの数々の出会いです。プログラム中にお会いした女性の方々は皆、各分野のプロフェッショナルとして高いキャリアを積み、社会に大きなインパクトを与えるような活躍をしていらっしゃる方々です。彼女たちから、私は「真のリーダシップとは何たるか」を学びました。また同時に、アメリカでのプログラム全体を通し、日本の社会とアメリカの社会の間に存在する「違い」を理解する事の大切さにも気づかされました。
今思えば、この気付きこそが、全ての始まりでした。プログラムを経て、私の見える世界はすっかり変わってしまったのです。プログラムに参加する以前、私は何ら自発的な行動をとらず、何か大きな事をするチャンスを全て見過ごしてきました。リスクをとる事を恐れ、何か他人と違う事を言えば仲間はずれにされるのではないか、という不安を常に抱えていました。しかしこんな姿勢のままでは、私の持っている可能性が、そして最終的には私の人生が、台無しになってしまうと気がついたのです。一度きりの人生、このまま無駄にしたくない、と思うようになりました。
TOMODACHIのプログラムを通し、私は友情という強い絆を得ました。プログラムに参加してから既に1年が経ちましたが、私は今でもTOMODACHIとの繋がりを持ち続けています。そしてその繫がりは、数えきれない程多くの素晴らしいチャンスを、私にもたらしてくれました。
1年を通し、私は様々なTOMODACHIの活動に参加し、お話をする機会を頂いてきました。米日カウンシルの年次会合に始まり、ケネディ駐日米国大使公邸でのTOMODACHIレセプション、また、第2回TOMODACHI MetLife Women’s Leadership Program の参加者向けイベントでも、壇上に立たせていただきました。これら全ての機会において、私は素晴らしい出会いの数々に恵まれてきました。
尊敬する各分野のプロフェッショナルの方々。そして、同じTOMODACHI世代の仲間達。
彼らは皆賢く、意欲的で、社会をより良くしていこうという高い志を持った人ばかりです。もちろん私たちは、全員が同一のプログラムに参加したわけではありません。それにも拘らず、不思議と強力な絆を感じるのです。年齢も異なれば、生まれ育った地域も環境も違う。しかしそれこそが、TOMODACHI世代の良さであり、強みです。私たちが力を合わせれば、きっと社会に変化をもたらす事が出来ます。TOMODACHIには生涯の友と呼べる大切な仲間が沢山います。確かに、住んでいる場所は日本全国ばらばらです。しかし、たとえ距離がどんなに遠くても、私たちは互いに学びあい、応援しあい、刺激しあう事が出来ます。私は一人じゃない。そう感じられる事が、私に力をくれるのです。これら全てのかけがえのない繋がりに、感謝したいと思います。
私は今、大学生活の一環として、模擬国連の活動に参加しています。模擬国連の目的は、会議のシミュレーションを行う事で参加者の国際政治に対する理解を深めることとされています。模擬国連の活動では複雑な国際問題に取組むとともに、様々な実践的スキルを身につける事が出来ます。調査の実施能力や、弁論術、交渉能力、リーダーシップ、そして、異文化に対する理解。これらは全て、TOMODACHIの活動においても不可欠なスキルです。
来年度の模擬国連会議は、私の現在のホームである神戸市で開催されます。私はこの会議において、運営委員会を取り仕切る国連事務総長役に抜擢されました。30カ国以上の国々から集まる 様々なバックグラウンドを持った参加者が、リアルなグローバル社会を体感すべく、一同に神戸に集う今会議。もちろん、ディスカッションや交流は全て英語で行われます。
私が大学の教授から国連事務総長役をやってみないかというお話を頂いたのは、丁度私がTOMODACHIのプログラムに参加する直前でした。当初、私はこのオファーを受ける事をためらっていました。先程もお話しさせていただいた通り、当時の私は、何か大きな影響力を持ちうる事に挑戦するためにリスクをとることや、そこで間違いを犯す事を、極度に恐れていたのです。しかし、TOMODACHIのプログラムへの参加が、私を変えました。プログラムを経て、私に合ったリーダーシップの発揮の仕方を身につけることがきで、数々の素晴らしい出会いに感化されて、私ももっと努力できる、努力したい、と思うようになりました。TOMODACHIのプログラムで出会った人々は、皆自信に満ちあふれていて、私も彼女たちのようになりたいと志しました。プログラムを終えた私は、神戸市での模擬国連会議を引っ張ってみせる、というやる気に満ちていました。自身の限界に挑戦する、またとない機会になるだろうと考えたのです。私はこの会議が、未来を担う次世代のリーダーたちが活躍するプラットフォームになると同時に、私自身がプログラムの中で解決を早急に要すると感じた事を解決するヒントを、そしてよりよい社会を作るための解決策を、見出だす場になるであろうと確信しています。
すでに、志と夢を持った人材はそろっています。今必要なのは、最適なプラットフォームです。人々が互いに繋がり合い、協力し合うための場が必要なのです。 他に類を見ないような大きな夢を持った人々が集い、繋がり、そこで得たパワーと絆を胸に、それぞれの属するコミュニティへと帰っていく。TOMODACHIは、まさにそんな場ではないでしょうか。
私と、その他数々のTOMODACHIアラムナイであるスピーカーの方々がお話ししてきた通り、私たち友達世代に出来ない事なんて有りません。TOMODACHI世代の仲間である皆さん、これからもTOMODACHIの活動に様々な形でコミットし、繫がりを大切にし続けてください。私たちが互いに刺激し合い協力し合えば、 どんな高みにだって登れるでしょう。
ここまで、私個人の経験を皆様と共有させていただきました。私の話を通し、TOMODACHIのプログラムが一人の人間の可能性をいかに強化する事が出来るのか、皆様に少しでも感じていただけましたら幸いです。長くなりましたが、最後にもう一度、このような素晴らしい場でお話しする機会を頂きました事に深く感謝の意を表し、私のスピーチを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。