プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:リズ・カーナン氏

リズ氏はハーバード・ビジネス・スクール(以下HBS)のアソシエイト・データサイエンティストとして、過去9年間勤務しています。社会政策の課題をデータで改善し、エビデンスに基づく意思決定を支援することに強い情熱を持っています。
HBSでの仕事に加えて、リズ氏はマサチューセッツ州ブルックラインの選挙で選ばれた公職にも就いており、州内でも最大規模の日本人コミュニティの一つを代表しています。最近ではブルックライン女性委員会の事務局長に任命され、地域レベルでジェンダー平等の推進に取り組んでいます。リズ氏は米日カウンシルの2025年新生リーダープログラム(ELP)の参加者に選ばれ、10月にハワイで開催された年次総会に出席しました。
また、リズ氏は2014年TOMODACHIカケハシ イノウエ・スカラーズプログラムのアラムナイであり、母親の出身地である群馬県で2015〜2016年にJETプログラムにも参加していました。
TOMODACHIカケハシ イノウエ・スカラーズプログラムでの経験は、あなたの自己成長にどのような影響を与えましたか?
このプログラムは、私のキャリアの方向性を決定づけるものとなりました。両親には、祖父母が存命の頃に日本へ連れて行ってもらっていましたが、祖父母が亡くなってからはTOMODACHIに参加するまで、おそらく20年ほど日本に行っていませんでした。その後、自分のルーツと文化に刺激を受け、JETプログラムに参加し、米日カウンシルの活動にも関わるようになりました。最近では新生リーダープログラムを通じて、日米活動に関わっています。
TOMODACHIカケハシ イノウエ・スカラーズプログラムで、今でも思い返す特別な思い出はありますか?
最も印象深い体験は広島を訪れたことです。これは、どのTOMODACHIプログラムにとっても重要な要素であるべきだと思います。平和記念資料館や平和記念公園を訪れて、そこで何が起きたのかを学ぶことは、世界中の人が経験すべきことです。同じ過ちを二度と繰り返さないために。とても心を揺さぶられる体験でした。私はハーフで日本の血が流れているので、当時の先祖がどのように感じていたかを想像することは、特に有意義なことでした。
選挙で選ばれた公職者として働く上で、どのような課題がありますか?
私たちは年に2回、数夜にわたり集まり、投票に必要な事項をすべて審議します。時には賛否が分かれるようなテーマもあります。直近の会議では、光害(ライトポリューション)について1時間半も議論しました。詳細が不足していたため、最終的には継続審議とすることに決めました。一般的に最も難しいことの一つは、全員を満足させることはできないという点です。それを受け入れなければなりません。そして時には自分自身も板挟みになることがあります。自分の直感を信じつつ、有権者の声にできる限り耳を傾けることが大切です。
TOMODACHIカケハシ イノウエ・スカラーズプログラムとJETプログラムの二つの日米交流プログラムに参加し、日本にルーツがあるとおっしゃっていましたが、日本に興味を持ったきっかけは何ですか?
当初は、自分自身や家族についてもっと学びたいという思いに加えて、日本人であることそのものに感じている誇りを深めたいという気持ちがありました。また、日本が世界から「クール」だと思われている理由をもっと知りたいとも思っていました。近年、日本の文化、音楽、アートは世界の最前線にあり、街の衛生面や人々の親切さなども高く評価されています。そういった点に惹かれ、もっと深く知りたいと思いました。
HBSでデータサイエンティストとして働いている仕事について教えてください。どんなところに面白さを感じていますか?
私は最初の修士号を社会学で取得しており、人種・階級・ジェンダーの問題、およびそれらがビジネスとどのように関連するかに強い関心を持っています。政策課題の傾向を数字で証明できたときには、強い達成感がありますし、それが社会の改善につながります。私のチームは、世界で最も優れた頭脳を持つ教授たちの研究をサポートしています。データ処理や資料作成を行い、研究者の主張・発表を支える役割です。私たちが携わった研究の中には、アメリカの議会で取り上げられたものもあります。そういった取り組みに関われるのは、とても刺激的です。
あなた自身、そしてコミュニティのリーダーとして、今後のより近い将来にどのような夢や目標を持っていますか?
私は常に、自分が「怖い」と感じることに挑戦しようとしています。このインタビューを引き受けたこともその一つです。最近参加した新生リーダープログラムや米日カウンシル年次総会では、リーダーとして「本物であること」や「弱さを見せること」、そしてソフトスキルがいかに大きな力を持つかについて多くを学びました。そういった力をもっと強化していきたいと考えています。また、メンターとして教える立場も、日系アメリカ人のリーダーたちから学ぶ機会も、どちらも大切にしたいです。
2025年の今、私たちはコミュニティの感覚を失いつつあると感じています。私は常にそれを取り戻す方法を探しています。例えば、自分の地域で交流を深めるためのブロック・パーティーを企画しているところです。積極的に外に出て、より強いコミュニティを作っていきたいと思っています。
あなたにとって「TOMODACHI」とは何を意味しますか?
表面的には、もちろん「友達」という意味です。でも、もっと深く考えると「パートナーシップ」に近いと思います。TOMODACHIカケハシ イノウエ・スカラーズプログラムでは広島の大学生たちと交流し、ボストンにも昭和ボストン(昭和女子大学ボストン校)があって学生たちと会うことができます。JETプログラムでも強い絆を作ることができました。こうしたつながりは本当に特別なものです。きちんと意思疎通ができない時もありますが、誰もが誠実で、相手を理解しようと一生懸命です。そうした交流から生まれる関係はとても美しく、世界にはそういうものがもっと必要だと思います。だから私にとってTOMODACHIとは、パートナーシップであり、コミュニティです。
あなたの経験は、学びや仕事を通して海外での暮らしにつながっています。海外で働きたい、学びたい、住みたいと考えている若者やプロフェッショナルにアドバイスはありますか?
とにかくやってみる事です。本当に世界について多くを学べます。共感力や理解力が高まりますし、自分自身についても深く知ることができます。そこで得た学びは人生全体に影響し、また自分のコミュニティにも還元できます。世界を体験できる機会はたくさんありますが、しっかり調べたり工夫したりすることが大切です。そうすることで、世界について、自分について、さらに多くのことを学ぶことができます。
このインタビューは2025年11月19日にMichael Kleinlercherによって実施され、記事にされたのち、大澤和紘によって翻訳されました。彼らは現在TOMODACHIアラムナイ・プログラムのインターンです。

