TOMODACHI アラムナイ・ ハイライト:廣瀬彩乃氏(TOMODACHI次世代サミット2025より)
今月のアラムナイ・ハイライトでは、Next Generation Summit 2025のTOMO Voice スピーチコンテストでスピーカーの一人を務めた廣瀬彩乃氏を紹介します。廣瀬氏はTOMODACHI渡邉利三留学奨学金プログラムのアラムナイです。今年のテーマ「出る杭ネットワーク」に沿って、彼女はカリフォルニア大学バークレー校への留学経験が、日系アメリカ人の歴史への情熱を深めるとともに、リーダーとしての発信力を強化したことを語りました。
日本には「出る杭は打たれる」という有名なことわざがあります。これは、目立つ存在は打たれてしまう、という意味です。でも、もしその「出る杭」が勇気を持って立ち上がったとしたら、それでもなお私たちは打ちつけるべきなのでしょうか?大学1年生のとき、私はラジオ番組のパーソナリティに選ばれました。しかし、次第にリスナーから私の声や意見に対して心無いコメントを受けるようになり、目立つことが怖くなってしまいました。
そんな私の意識が変わり始めたのは、大学2年生のときでした。米日カウンシル「渡邉利三寄付奨学金」によるリーダーシップ研修に参加し、「ブロードウェイに立ちたい」「アメリカで起業したい」と夢を語る学生たちと出会いました。誰もその夢を笑ったりせず、お互いの話に耳を傾け、支え合う環境がそこにはありました。それが、私にとって初めての「出る杭ネットワーク」でした。プログラムの一環で、私は全米日系人博物館を訪れ、日系アメリカ人の戦時中の強制収容や差別の歴史を語り継ぐストーリーテラーたちと出会いました。彼らもまた、マイノリティとして「出る杭」であり、正義のために声を上げ続けてきた方々でした。私はその姿に深く心を打たれ、彼らの語る歴史を聞く中で、この歴史を次世代へ伝える責任を強く感じるようになりました。そして、帰国後には、TOMODACHIイニシアチブのインターン生として、高校生に日系アメリカ人の歴史を教える活動を行いました。
TOMODACHIイニシアチブでの経験を通じて、私は、日本の学生にとっては一般的ではない進路を見つけました。多くの同級生が就職活動を進める中、私は日系アメリカ人の歴史を研究するという学問の道を歩む決意をしました。強制収容された日系アメリカ人たちは、不正義に対して立ち上がるという勇気を示していました。だからこそ、私も人々がその「逆境に立ち向かった物語」を忘れないように、自らが「出る杭」となりたいと思っています。日系アメリカ人のダニエル・イノウエ上院議員の言葉に、「歴史は優れた教師だ。ただし、その教訓に耳を傾ければの話だ。さもなくば、私たちは同じ過ちを繰り返すことになる」とあります。先行きの見えないこの時代だからこそ、私はこれからも、勇気を持って「出る杭」であり続けた日系アメリカ人たちの物語を伝え続けていきたいと思います。
2025年9月1日に高波爾奈がスピーチを記事にしたものです。彼女は現在TOMODACHIアラムナイ・プログラムのインターンです。