TOMODACHI アラムナイ・ ハイライト:阿部昌太郎氏(TOMODACHI次世代サミット2024より)
今月のアラムナイハイライトは、TOMODACHI次世代サミッサミット2024で感動的なスピーチを行った阿部昌太郎氏です。阿部氏はTOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminarのアラムナイで、現在は早稲田大学の教育学部の学生です。Boeing Entrepreneurship Seminar の仲間たちとの共同プロジェクト「カマクラシック」の発起人です。クラシック音楽への愛と、鎌倉が故郷であることから、阿部氏は600席のホールでコンサートを開催し、情熱と忍耐によって目標を達成することに意欲を燃やしました。
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私は、まだ一人の演奏者も揃ってない段階で、600席のコンサートホールを予約した。もう後には引けない。私は自分の故郷の鎌倉にオーケストラを創設した。こう言うと多くの人が驚いたが、そう、私は自らオーケストラを作り、コンサートを企画したのだ。
オーケストラを作るとなると、多くの人と話すことが必要になるため、私はもともとコミュニケーション能力が高かったと思われるかもしれないが、そんなことはない。高校時代、コミュニケーションが苦手でいじめられたこともある。人付き合いがうまくいかず、アルバイトを何度か辞めたこともある。大学で吹奏楽部を指揮することに自信をなくし、落ち込んでいたとき、自分の好きなもの、クラシック音楽と故郷の鎌倉を思い出した。4歳からピアノを始め、中学生の頃からクラシック音楽に熱中していた。大学進学のために上京した後、鎌倉の自然や気さくな近所付き合いが恋しくなり、故郷鎌倉とクラッシックという大好きな2つを組み合わせたオーケストラを鎌倉で結成しようと決意した。そんな時、TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar に参加し、同じ志を持つ仲間と出会った。
一緒にオーケストラを作ろうという仲間に出会えた。
プロジェクトを成功させ、すでに予約したコンサートホールを満席にしなければならないというプレッシャーは、プロジェクトメンバーが増え、起業について学び始めた後も、常に頭の中にあった。自分のプロジェクトを宣伝し、出演者やサポーターを見つけるために、昨年5月、鎌倉の海の近くの公園で開催されたフェスティバルで、プロジェクト・メンバーと一緒にチラシを配ろうと考えた。暑い中、7時間もチラシを配り続けた。
フェスティバル会場で鎌倉市長を見つけた私は、即座に声をかけに行き、コンサートのアンコールで指揮者になってくれるようお願いした。彼は即座に 「イエス!」と答えた。その瞬間、7時間の苦労が報われた気がした。全員が幸せな時間を共有した。
オーケストラのメンバーは、小学生から70代まで幅広い。音楽が好き、鎌倉が好きという人たちのために、他の仕事と両立しやすいように練習回数を少なくして、居場所を作りたかった。リハーサルの回数を少なくすることで、鎌倉以外に住んでいる人でも、数回の移動の手配だけで参加できるようにした。その結果、普段はオーケストラに所属できない人もカマクラシックに所属することが出来た。中でも印象に残っているのは、最初の練習の後、演奏者の一人が私に 「私の居場所を作ってくれてありがとう 」とお礼を言ってくれたことだ 。それは、私にとって感動的な瞬間で、涙が出そうになった。最初は自分のために始めたプロジェクトが、他の人にとっても価値あるものになったことを嬉しく思いました。一度失った自信を取り戻すために始めたカマクラシックが、コミュニティのためになる場所を作り始めていたのだ。
2024年2月24日、私のコンサート当日。驚いたことに、600席のコンサートホールは満席だった。
聴衆の拍手は鳴りやまなかった。プログラムには書かれていなかったが、カーテンコールで指揮者が私をステージに呼んだ。私が一礼すると、ホールはさらに大きな拍手に包まれた。その瞬間、2年前に出演者ゼロでホールを予約して以来の迷いやプレッシャーが消え去り、達成感に包まれた。一度失ったと思っていた自信が戻ってきたのを感じた。
コンサートが終わったとき、出演者も観客もみんな笑顔だった。その笑顔を見て、自分のためではなく、このホールにいるすべての人のために、またコンサートを開きたいと思った。人の居場所を作り続けたいと思った。
先日、2回目のコンサートを開催するためにホールを予約した。今回のホールは1,500席で、前回の2倍以上の規模になる。私は、第2回目のコンサートも成功すると確信している。また、ここにいる全員がコンサートに来てくれると確信している。
私のメッセージは、コミュニケーションが苦手でも、コミュニティになじめないと思っていても、あなたが輝ける場所があるということだ。すごいことをする場所ではなくて良いので、自分の居場所を見つけること。私は誰にでも輝けるステージがあると信じている。
ありがとうございます。
このスピーチは、2024年9月29日にクイン・カリーナと高波爾奈が翻訳したものです。彼女たちは現在TOMODACHI アラムナイ・プログラムのインターンです。