TOMODACHI アラムナイ・ ハイライト:五十嵐光氏(TOMODACHI次世代サミット2024より)
今回のTOMODACHI Alumniハイライトは、2014-2015 TOMODACHI MetLife Women’s Leadership Programのアラムナイであり、ウィメンズアイのエグゼクティブディレクターとして活動している五十嵐光さんにお話を伺いました。シングルマザーリサーチプロジェクトを立ち上げ、日本におけるシングルマザー家庭がパンデミックによってどのような影響を受けたのかを研究し、その状況を社会に訴えることに貢献してきました。彼女の仕事の核には、ジェンダー平等と包括的な地域社会の発展があります。また、アメリアズ、シングルマザーズフォーラム、人間の安全保障フォーラムなど、他の非営利団体でも活動してきました。彼女は、全ての人が必要なリソースにアクセスし、自分を信じて前進できる社会を目指し、ブロックチェーン技術を使用したP-to-P(ピア・トゥ・ピア)共有アプリケーションを立ち上げています。
一つ質問させてください。これまでの人生で、自分の能力や可能性を疑い、「自分は十分ではないかもしれない」と感じたことはありますか?
約10年前、私はまだ学生でした。そのとき、私はあと少しでTOMODACHI MetLife Women Leadership Programに応募することをやめるところでした。親友がそのプログラムの話をしてくれたとき、私の最初の反応は「いや、無理だな」というものでした。彼女のような人なら受かるかもしれないけど、自分には無理だと思ったのです。その当時、東京での学費や生活費を賄うのがとても大変で、夢はことごとく砕かれていました。低所得の母子家庭で育った私は、「やっぱり自分には無理かもしれない」という心の壁に何度もぶつかっていました。
しかし、TOMODACHIコミュニティは「人とのつながり」という力を与えてくれました。プログラムで出会ったメンターは、私に安心して自分の弱さを見せられる場を提供してくれました。また、仲間たちはプログラムが終わった後も、人生で大胆な決断をするよういつも励ましてくれました。そういった関係性は、「恩返しをしたい」という思いを私に芽生えさせ、意義ある変化を推進する信念を強めてくれました。だからこそ、パンデミックの最中に母子家庭をテーマにした研究プロジェクトに打ち込み、最終的には日本で4万世帯以上の低所得家庭に経済的支援を届けることができたのです。
非営利団体での活動を通じて、社会や経済のシステムが本当に助けを必要としている人々が見捨てられている事を目の当たりにしてきました。それでも、テクノロジーを活用した公平な解決策が徐々に生まれているのを感じています。例えば近年、台湾ではブロックチェーン技術を活用して公共サービスの透明性を向上させています。Gitcoinのようなプラットフォームでは、コミュニティが公共資源を調達するために必要な資金作りをより透明な仕組みで提供しています。
思い描いてみてください。「分かち合い」が単なる親切な行為ではなく、持続可能な相互支援の手段となるシステムを――利益が分散され、すべての人が恩恵を受けられる世界を。私たちのアプリ「KashiKally」は、ブロックチェーン技術を活用した認定シェアリングプラットフォームで、資源の共有をより簡単かつ安全にします。
テクノロジーが進化するにつれて、私たちも共に進化しなければなりません。新たな課題や機会に応じて解決策を絶えず進化させる必要があります。そして私たちには、それを実現するためのリソースがあります。「誰もが困窮せず、すべての人が自分の可能性を最大限に発揮できる世界」を実現することが可能です。
時々、まだ不安を感じることもあります。それでも、この10年間で出会ったコミュニティは、私を鼓舞し続け、これからも前進していく上での道しるべであり続けると確信しています。
お聞きくださり、ありがとうございました。
このインタビューは2024年11月27日、坂井美月によって行われました。彼女は現在、TOMODACHI アラムナイ・リーダーシップ・プログラムのインターンであり、TOMODACHI – U.S. Embassy Go For Gold スポーツ・リーダーシップ・プログラム 2024-25の修了生でもあります。