TOMODACHI特集:佐藤陽羽氏のスピーチ(2023年米日カウンシル・アニュアル・カンファレンスより)
人のお世話をできるような人間になりたいとずっと思っていましたが、自分の潜在能力を最大限に発揮するためには、学ばなければならないことがありました。
こんにちは。「TOMODACHI J&J 災害看護研修プログラム」のアラムナイ、佐藤陽羽と申します。
私は看護の道を選び、2022年にTOMODACHIのプログラムに参加しました。参加するまでは、自分の夢を実現するためには、情熱と知識を持ち続け、100%力を発揮する必要があると常に考えていました。しかしTOMODACHIは、人の世話をするためには、2つのことを確認する必要があることを教えてくれました。一つは、他人を助ける前に自分自身を大切にすること、そして二つ目は、人と人とのつながりがより多くの人を助けるために自分の行動範囲を広げ、さらなる機会を生み出すことです。
「TOMODACHI J&J 災害看護研修プログラム」では、DMAT(Disaster Medical Assistance Teams:災害派遣医療チーム)のメンバーと交流する機会がありました。プログラムの一環であるトリアージ・ワークショップで、インストラクターから「緊急時に一番大切なのは自分の安全だ」と言われました。これは基本的なことでありながら、人々が最も忘れがちなことであり、私もそのように感じました。今年の4月下旬、人生を左右するような経験をしたとき、このアドバイスが役に立ちました。
ヴァージニア州の一般道を運転していた時です。カーブに差し掛かったとき、「ドーン」という音が聞こえました。カーブを曲がったところで、車が他の車に衝突していたのです。片方の車はフロントフェンダーが潰れており、両方の車からは白い煙が立ち上り、エアバッグはぱんぱんに膨らんでいて、オイルの匂いがしたのです。どちらの車からも人は出てこず、私は頭が真っ白になり、現実味もありませんでした。
次の瞬間、私は、急いで現場に駆けつけなければならないと直感で思ったのですが、思いとどまりました。DMATのインストラクターが言った言葉を思い出したからです。
ステップ1:現場を評価し、安全であることを確認する。
ステップ2:自分自身を評価し、落ち着いていることを確認する。
ステップ3:自分の身を守るために適切な装備を身につける。
結果、私は負傷したドライバーをトリアージし、他の人に911への通報をお願いすることができました。
その夜、私はTOMODACHIプログラムを通じて知り合ったDMATチームのインストラクターにこの話をしました。彼の教えが私を奮い立たせ、現場での対応に役立ったことを説明したところ「訓練の時も、あなたは落ち着きある対応していたので、実現場でのトリアージもうまくできたことだろうと、想像できます。感動しました」と返答を頂きました。実習やつながりで得たことが、誰かの命を救うのに役立ったのだと実感できた瞬間でした。この経験によって、緊急事態管理分野こそが私の目指すところだという目標を確固たるものにしました。
このインストラクターとのつながりは、他者をきちんと助けるためにはまず、自分自身を大切にすることへの理解の助けになっただけではなく、私のネットワークを広げてくれるメンターにもなってくれました。その後、彼の情報網により、救急分野についての知識や考えを深めることができましたし、最終的には、数カ月前に単身渡米することになったでのす。アメリカでは頼れる人がいなかったので、大きな決断でもありました。しかし、TOMODACHIを通じて出会った人たちのおかげで、ユニークな経験や確かな人脈を通じて、人を助けるという情熱の追求に挑戦することができました。
TOMODACHIのプログラムでは、他人を思いやるためには自分を大切にすること、そして人と人とのつながりの価値は、自分自身が挑戦する際の助けや、成長を促してくれるという2点で刺激を受けました。
ヴァージニア州の病院の救急部で働き続けながら、これまでに私が学んできた貴重な教訓を、さらに多くの教訓とともに心に刻み、人々を助けることで恩送りを続けていくことを約束します。TOMODACHIで得たつながりに感謝しています。このプログラムに参加したおかげで、今の私があります。
ご清聴ありがとうございました。
*こちらのスピーチ文章は、英語原文の日本語訳となります。