プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:ジェニファー・バトラー氏
学生の可能性を信じることーTOMODACHIアラムナイの語るキャリアとTOMODACHI
ジェニファー・バトラー氏は2014年のTOMODACHI-Mitsui & Co. Leadership Programのアラムナイです。同プログラムに参加以降、さまざまな形でTOMODACHIコミュニティに関わってきました。また、教育に高い関心をもち、多くのフィールドで働いてきました。現在は一般財団法人あしなが育英会で働き、日本で学ぶアフリカからの学生の支援をしています。このインタビューでは、TOMODACHIでのユニークな経験と、自分の興味やミッションを見つけた方法について話して頂きました。このインタビューは、2022年10月に東京のTOMODACHIアラムナイインターンの中島遥によって、オンラインで行われました。
Q1. 日本でキャリアをスタートさせた経緯を教えて頂けますか?
アメリカで通っていた大学が日本に姉妹都市をもっていたので、アメリカにいる日本人学生の短期交換留学をサポートする機会がありました。大学卒業後はJETプログラムに参加し、静岡県浜松市に3年間いました。たくさんの学校、先生、生徒の間で経験を積みました。生徒と関わることは学生時代と変わらず好きだと気付きましたが、違いは教室で授業を教えるよりも短期交換留学プログラムの方を楽しんだことです。当時の私の課題は、どのように教室の外にいながら生徒と関わるかということでした。それから交換留学についてもっと学びました。大学とJETプログラムで日本の学生と関わった経験は、教室で教えるほかにも教育に関わる機会はたくさんあると教えてくれました。
Q2. ジェニファーさんは参加者やグループの引率者として多くのTOMODACHIプログラムに参加されてきました。TOMODACHIプログラムでの経験について教えてください。
さまざまな視点からTOMODACHIプログラムを見ているので、私の経験はユニークだと思います。在ナッシュビル日本国総領事館(テネシー州)で働いていたとき、東日本大震災が起きました。ご存じの通り、TOMODACHIプログラムは震災がきっかけとなり始まりました。初期のプログラム参加者の何人かが私の地域に来て、私は領事館スタッフとしてサポートしました。そのあと、TOMODACHI-Mitsui & Co. Leadership Programという、若手のプロフェッショナルに向けたリーダーシップとイノベーションプログラムに応募しました。領事館を離れたあと、地元に戻りTOMODACHIカケハシ・イノウエスカラーズプログラムに参加しました。日本の高校生と大学生グループの引率を務めました。それから、故郷のミシシッピ州にあるジャクソン州立大学で働いていたときにもTOMODACHIカケハシ・イノウエスカラーズプログラムがあり、大学の学生を参加させるために応募しました。大学職員として、学生を日本に連れて行き、日本からも学生を受け入れました。TOMODACHIを内側と外側の両方からみていたため、自分の大学の学生を連れて行ったとき、学生にプログラムから何を得てほしいかわかっていました。学生はよい経験をし、プログラム後もTOMODACHIとつながっていくことが大切だと気付いていました。
Q3. ジェニファーさんはさまざまな国の学生のために働いてきました。印象的なできごとはありますか?
教育の難しい点の一つは、長期的なプロセスだということです。教育は長期的な投資のようなもので、誰かの可能性や未来のことです。未来のことはわからないため、学生と取り組んだことがどのような結果になるのか見えにくいときもあります。けれど興味深いのは、早い段階で学生の可能性を信じることはとても重要だということです。私の一番の経験は、学生たちが自分の可能性や、留学などの国際的な経験により自分にはできることがたくさんあると気付き始めたときです。一つのエピソードだけを話すのは難しいですが、一番の経験は学生たちのこうした気付きです。
Q4. ジェニファーさんは多くの職場を経験されてきました。キャリアを選ぶうえで最も重要なことはなんですか?
大切なことは、組織の取り組みと自分が大切にしていることの共通点です。ラッキーなことに、私のしてきた仕事はいつも何かしら自分の信念とつながっていました。私は、国際教育は人々の人生を変えることができるため重要だと思っています。成長と将来に大きな影響を与えるため、その機会が奪われてはいけないと思っています。私にとって、キャリアのうえでの選択はその使命とつながっている必要がありました。
Q5. 将来何をしたいか迷っている学生も多くいると思います。アドバイスはありますか?
やりたいことを見つけるのはとても大変ですし、大変でいいのだと思います。私は、あしなが育英会「アフリカ遺児高等教育支援100年構想(Ashinaga Africa
Initiative:AAI)」日本の留学生支援チームのディレクターをしています。学生が日本になれるためのサポート、リーダーシップトレーニングやいろいろなプログラムをしています。学生はそれぞれ関心分野をもっています。私たちの考えは彼ら、彼女らの考え方を広げ、やりたいことを達成する方法をさまざまな視点から見られるようにすることです。道は一つではない。TOMODACHIの素晴らしい点は、異なるフィールドの人たちと出会い、話し、共有できるところだと思います。世界は広い。最初は何もわからないので、そうした発見のプロセスは学生がするべきことの一部です。わからなくてもいいのですが、時間があるときにできることを探求してほしいと思います。
Q6. TOMODACHIアラムナイコネクトのプロフィールでは、TOMODACHIとは「日本/日米関係への共通の関心をもち、このつながりに価値があると感じている人たちとつながる方法である」と書いていますね。TOMODACHIのつながりに価値があると感じた経験について教えて頂けますか?
一つはコミュニティの感覚と、自分を理解している人と一緒にいることです。あしなが育英会では親を亡くした学生たちと活動しています。あしなが育英会の重要な取り組みの一つは、同じようなトラウマを持つ学生たちが集まり、学生自身とその経験を理解できる人たちといられるコミュニティあるいは場所を作ることです。このコミュニティの感覚は非常に重要です。あしなが育英会の仲間は、親を亡くすということがどういうことかわかっているからです。コミュニティが学生を理解し、学生は安心して自分の経験を話すことができます。このつながりと共通の経験は、学生が自信をもち安心して将来の夢や希望を追うためにとても重要です。
これを、TOMODACHIの文脈に当てはめて考えてみましょう。TOMODACHIにはリーダーシップや女性のエンパワメントなど多くのプログラムがあります。しかし共通するのは、私たちが日米関係への関心や、日米関係が個人レベルで私たちをつなげられるという理解をもっていることです。これは私たちがこれから取り組むこと全てに共通するスタート地点です。TOMODACHIの一部であることは、この関心について説明する必要のない場所をもっているということ。私は日本で暮らし働くことが好きで、同じ関心を理解する人とのコミュニティをもつことができます。それが大切なことだと思います。TOMODACHIアラムナイの活動はコミュニティを広げてくれます。このつながりはとても価値のあるものです。