プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:髙橋倫平氏
髙橋倫平は、2015年のTOMODACHIセントルイス-石巻草の根交流プログラムのアラムナイです。このプログラムによって新たなチャンスに目を向け、その後もさまざまなTOMODACHIのアラムナイ・プログラムに積極的に参加しました。現在は、宮城県女川町を拠点に東北地方の若者を支援する教育NPO「まちとこ」で働いています。日本体育大学体育学部卒業、教員免許取得。
以下のスピーチは2022米日カウンシル アニュアル・カンファレンスにて行われました。
みなさんこんにちは。TOMODACHIアラムナイの髙橋倫平です。私が初めて参加したTOMODACHIプログラムは、TOMODACHI St. Louis-Ishinomaki Grassroots Exchange プログラムです。2015年、高校生だった私にその短期アメリカ留学は衝撃を与えました。そして現在私は、宮城県の女川町で一般社団法人まちとこという団体で教育事業を運営しています。まず最初に、いつも笑顔で優しくアラムナイの私たちに声をかけ、サポートしてくださり、TOMODACHIプログラムを初め、日米の人材の育成、交流に大きく尽力されましたアイリーン・ヒラノ・イノウエ様に追悼を捧げます。
私がアイリーンさんと初めてお会いしたのは、2016年に行われたTOMODACHIグローバルリーダーシップアカデミー(GLA)でした。GLAは東北の若者に焦点をあてた、リーダーシップ・プログラムです。羽田空港ラウンジで行われた活動発表の際にアイリーンさんは私に声をかけてくださいました。
「あなたたちが東北、そして日本のリーダーとなっていくのよ。あなたたちが未来なのよ。」私は当時高校生でしたが、この言葉に重みを感じました。その言葉はすぐに自分の中に落ちてきませんでしたが、言葉を受け取ったときの気持ちはずっと感じていました。
その日の夜、石巻に帰る途中に、明日のことや、どれだけ宿題が残っているかを考えていました。同時に、自分の人生で何がしたいかも考えました。アイリーンさんの言葉を思い出し、腑に落ちたのはその瞬間でした。「あなたが東北のリーダーなのよ。」そのとき、やっと理解しました。私は改めて、微力な高校生ながらにTOMODACHIアラムナイとしての責任と覚悟を感じました。そして、この言葉をフォローし、それを自分の将来とすることを決めました。そこから私は、たくさんのTOMODACHIプログラムに参加しました。そこでは防災の知識をはじめ、グローバルリーダーとは何かを考えたり、日本の未来のために自分たちには何ができるのか問い続けました。それぞれを考えるたびに、私の考えがアップデートされ私が成長しているのを実感する機会にもなりました。
またTOMODACHIイニシアチブは私に、たくさんの仲間を与えてくれました。東北をはじめ日本各地で活躍する同世代のTOMODACHIの活躍は私にいつも刺激を与えてくれます。「どこかでTOMODACHI世代が頑張っているから私も頑張ろう。」と思えるのは、TOMODACHIプログラムの活動に価値があったからだと確信しています。私はこれから生涯を通して、「教育」という観点から東北を日本を引っ張っていくと考えます。私の住む女川町は震災によるダメージから復興したもののまだまだ港町という特徴もあってか、大学をはじめ高等教育機関に進学する子どもが非常に少ないです。田舎の子が世界の広さを知らないまま大人になってしまっています。私は世界の広さを知った上で、自分の街が素晴らしいと彼らに感じてほしいのです。だから私はそんな田舎の女川の子どもたちに、整備された教育環境を届けたいです。
私はTOMODACHIイニシアチブに世界の広さを教えてもらったからこそ、その恩恵を次の世代に繋いでいきたいと思います。私がこのような思考を持てるようになったのは、TOMODACHIイニシアチブ、米日カウンシル、そしてアイリーンさんに出会えたからです。アイリーンさんの訃報を2年前に聞いた時には、私の中で大切な原動力の一つが失われたような気がしました。しかし、彼女の言葉は私の中に残っています。彼女の想いは世界中にいるTOMODACHI世代の中に生きています。
TOMODACHIイニシアチブありがとう。アイリーンさんありがとう。