プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:ジェス・ジュアニッチ氏
ジェス・ジュアニッチ氏は、2018年にロサンゼルスで行われた第6回TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議のアラムナイです。ジュアニッチ氏は、コンテンツクリエーターとして働きながら、ワシントン大学で公共経営学修士(MPA)の取得を目指して、公共政策学や政治学の専門知識を身につけています。
彼は、公共政策への関心、そしてシアトル大学の学生自治会や日系アメリカ人市民同盟などの組織でのリーダーシップの経験から、ダイバーシティとインクルージョンに情熱を注いでいます。
その情熱から、2021年4月にはポッドキャスト「Pinoys vs. the World」を開始しました。このポッドキャストは、表に出てこない声を分かち合う拠り所であると同時に、多くの時事問題について彼と友人の共同ホストがフィリピン系アメリカ人としての独自の視点を共有する場となっています。
このインタビューは、2021年8月1日に、TOMODACHIアラムナイ・インターン(2021)の田島桃子(福岡)によってオンラインで行われました。
Q1: TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議に参加したきっかけは何でしたか?
大学時代の私の課外活動の多くは、日米関係を中心にしたものでした。日系アメリカ人市民同盟のシアトル支部での活動や青少年向けのプログラム・リーダーシップ活動等を広く行っており、これらがきっかけで、このプログラムに応募したいと思うようになりました。また、2017年の夏には日本に行き、東京、京都、大阪、鹿児島の各地の高校で英語を教えました。
こうした経験から、2018年のリーダーシップ会議は私にとって良い経験になるのではないかと思い、応募しました。
Q2: 今回の会議で最も印象に残っていることは何ですか?
私たちが行った活動の多くは、政策の異なる分野に焦点を当て、日米関係をどのように強化できるのかを模索するものでした。また、地域開発やテクノロジーなど、さまざまな分野のゲストスピーカーの話を聞く機会もありましたが、私が最も印象に残っているのは同じ参加者の仲間のことです。皆、とても親切で友好的でした。たくさんの友人ができ、その多くと今でも親交が続いています。とても楽しく、やりがいのある経験でした。
Q3: あなたにとって「TOMODACHI」とは何ですか?
私にとってTOMODACHIとは、「つながり」を意味します。このプログラムでは、長く続く多くの友人関係を築くことができました。それが個人的なものであれ、仕事上のものであれ、築き上げた人脈や関係性は、自分が行きたいところに辿り着くための助けとなります。キャリアの観点では、さまざまなアラムナイやリーダーとのつながりによって、公共政策への関心と自分のやりたいことの両方を確固たるものにすることができました。
第6回TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議にて
Q4: このプログラムは、あなたのリーダーシップ・スタイルに何か影響を与えましたか?
このプログラムは、リーダーとしてのコミュニケーション能力を確実に強化してくれました。例えば、私はビジネスと技術のどちらの分野にも精通しているわけではありませんが、それらの専門家が話したソフトスキルにおいて多くの学びがありました。
彼らの話を聞いて、批判的に耳を傾け、話す前に考えることが重要であることを学びました。また、問題を解決するためのいろいろな手法を身につけるために、問題のあらゆる側面を見る能力を磨くことも重要です。私の人生の様々な場面で、これらのスキルを多くのリーダーシップやチームプロジェクトに取り入れることができたことは、非常に役に立っています。
Q5: 今年4月にポッドキャスト「Pinoys vs. the World」をスタートされました。このポッドキャストで実現したいことは何ですか?
私はフィリピン系アメリカ人であり、大学で学ぶ初めての世代です。ポッドキャストを一緒に配信している私の友人ハラルド・ハイルセット(Harald Hyllseth)は、フィリピン/ノルウェー系アメリカ人であると同時に、先住民族でもあります。米国では、主流のメディアの多くが、有色人種や様々なバックグラウンドを持つ人々の経験を必ずしも反映していません。
ポッドキャストに登場するゲストの多くは、これまで十分に紹介されてこなかったコミュニティを代表しています。彼らは、リスナーに異なる声を聞く機会を提供してくれます。彼らが自分のアイデアを視聴者と共有できる場を提供することは、とても重要だと考えています。
私たちがこのポッドキャストを作ったのは、自分たちの生きてきた経験を語るプラットフォームを確立し、メディア、エンターテインメント、政策のそれぞれの分野で不足していると感じてきた部分を表現するためです。歴史的に見ても、私たちに似た人でストーリーを共有できる人はいませんでした。私たちにとって、関心事を共有し、その関心事が私たち自身のアイデンティティーとどのように繋がっているのかを知ることは、とても重要なことでした。このポッドキャストの主な目的は、ストーリーを共有し、コミュニティに参加するためのプラットフォームを作り続けることでした。
Q6: ダイバーシティ推進のために行ってきた取り組みを教えてください。
私は3年生のとき、大学のダイバーシティ&インクルージョン担当副学長と協力して、シアトル大学の「Student Mission Day」と呼ばれる、教育を通してダイバーシティ&インクルージョンをどう考えるかを学生が話し合う場を共催しました。
その際にゲストスピーカーとしてお招きしたのが、マイケル・エリック・ダイソン博士でした。当時はジョージタウン大学の教授として、人種研究を専門とし、ダイバーシティ&インクルージョンなどの問題に取り組んでいた方です。ダイソン博士は、寮、学習、課外活動などにおいて、より多様で包括的な空間を学生自身が提唱する方法を考えたいという私たちの思いや疑問に真剣に向き合ってくれました。私たちは、どのようにしてそのような環境を作り出し、促進していくことができるかを話し合いました。これは楽しい経験でした。
Q7: 未来の世代のために、多様性のある社会を作りたいと考えている人にアドバイスをお願いします。
学ぶことを通じてレジリエンスを高め続けられることが、多様性のある社会を創造するための鍵になると思います。オープンマインドであること。興味のあることに耳を傾けること。学んだことを活かし、行動に移すこと。自分の価値観や学びたいことに沿った様々な活動やイベントに参加することで、自分の成長を支え続けてくれるコミュニティが形成され、多様性のある社会の実現につながると思います。成長の過程で、様々な人から学び、自分とは異なる考え方や価値観に出会うこともあるでしょう。その中で、そうした違いともうまく折り合いをつけて生きる方法を学び、困難を乗り越えていくことも、我々の役割だと考えています。