ニューヨークで福島県の高校生8名に200名が拍手喝采:故郷を想い「ふるさと」を編曲
2016年8月16日から21日まで、「TOMODACHI サントリー 福島未来ミュージックプログラム」で福島県立ふたば未来学園高等学校吹奏楽部8名が渡米、NYフィルハーモニック楽団員とのワークショップへ参加しました。
本プログラムは、音楽を通じてより多くの生徒達の「心の復興」に貢献すべく、東日本大震災から5年を迎える今年2月より開始。対象校は東日本大震災により、東京電力福島第一原発の事故の影響で双葉郡内5校の再開目途が立たない状況下で、昨年中高一貫校として開校しました。
プログラム前半は、NYフィルが実施する作曲家プログラムに参加し、同世代との作曲家と音楽を通じて交流をする他、国内で作曲家・指揮者の嶋津武仁福島大学名誉教授の指導のもとに取り組んできた「ふるさと」の編曲作業に勤しみました。また、ニューヨークの観光名所のセントラルパーク等を訪問し、米国の文化や言語に触れました。生徒達は編曲作業の中で、母校校歌を組み入れたり、現在の故郷を想う気持ちを楽曲に込め、コンサート当日に臨みました。
迎えたコンサート当日は、200名超がリンカーンセンターのデイビッド・ルーベンシュタイン・アトリウムに来場。集まった沢山の観客を前に、サントリーホールディングス株式会社コーポレートコミュニケーション本部富岡正樹CSR推進部長より、「まさかの時の友こそ真の友(A friend in need is a friend indeed)」と東日本大震災発生時トモダチ作戦で日本を支援した米国の支援に感謝を表し、「福島からのポジティブな元気とエネルギーを来場者の皆さんにお伝えできることが大変光栄です」とご挨拶いただきました。また、米日カウンシル理事フレデリック・H・カタヤマは、「本プログラムは、米日カウンシルが使命として掲げる、人と人とのつながりの大切さをまさに体現しているプログラムです。」と述べました。
コンサートでは、生徒が編曲したオリジナル楽曲を披露し、また制作に込めた思いを集まった観客へ伝えました。震災以降避難生活を続ける部長の遠藤一成氏は、「一流の演奏家に触れることが出来大変貴重な機会でした。楽曲には、すべてを失った東日本大震災発生後、さまざまな人たちと出会い、復興へ向かって徐々に明るさを取り戻す様子を込めました。」と編曲への思いを語りました。その他、NYフィルハーモニック管弦楽団で活躍する楽団員やゲストアーティストの演奏、「TOMODACHIサントリー音楽奨学金」受給生の壱岐薫平氏(クラリネット)と齋藤武尊氏(ピアノ)のジャズ演奏等、集まった観衆を魅了しました。齋藤氏は、「福島の高校生達が編曲したふるさとは努力が感じられる大変良い仕上がりでした。また、参加者を間近で見て、音楽で一番大切なことの一つ(曲を通して何を表現すべきか)に改めて気づかされました。」と述べました。
コンサートの最後には、スクリーン上にふるさとの歌詞が映し出され、嶋津教授の指揮でふるさとを演奏、会場中が大きな拍手喝采に包まれました。震災から5年を迎え、福島県の高校生8名が、NYでまた新たな一歩を踏み出しました。