TOMODACHI世代:ケイティー・マクダーミット
ケイティー・マクダーミット氏はワシントンDC出身で、TOMODACHI米日ユース交流プログラム2015に参加しました。
彼女は2016年3月4日に東京で開催されたTOMODACHIレセプション、「3.11 を忘れない、5年の歩みを振り返って」で東北に関する自作の詩を披露しました。自作の詩は以下の通りです。
ストーリーテラー
一つお話をさせてください
失くしたものを取り戻し
人とつながり、ものを作り出すお話
震災の話をさせてください
ただし、あなた方がいつも耳にするお話ではありません
テレビや新聞記事で
事実関係については皆さんよくご存知でしょう
約15,890人が亡くなり、2,589人が行方不明
2,200万トン以上の瓦礫
東日本大震災はまさに悲劇です
でも実は
被災地にあるのは瓦礫や死ばかりではありません
石巻、南三陸、仙台
これらの街は
誰かの故郷です
海の景色や夕焼け
一見して分からないところに街の魅力があります
メディアに考えを左右され
私たちは忘れてしまいがちです
被災地はいつも被災地だった訳ではありません
ここには人が生活し、様々な思いを共有していました
街は壊れているのではなく、少し輝きを失っているだけです
彼らの世界は復興しますし、事実それはもう始まっています
メディアが見せてくれないのはここに住む人々の熱意です
苦難に直面した時は街全体が立ち上がり、それを乗り越えました
障壁にぶつかった時は互いを持ち上げ、それも越えました
山も動かせるほど強い人々だからこそ、街を復興できるのです
手に手を取り、心と心をつなげ、
共に協力し、強い基盤となるバランスを作り上げています
実は
この世界はバランスで成り立っています
善と悪、陰と陽、
片方がなければもう片方に気づけません
復興、創造、改善、
自然との共存、自分たちの住む世界への愛、そういったものは似ています
安全を確保することとリスクを避けること、
課題に気づくこととそれを解決することも、それほど違いはありません
この人々は、今までにない困難の中でその違いを見極め、
より重要なことに、問題を解決できる世代を育てています
こういった災害が自然のものか人の手によるものか、
失われた命、失われた希望が誰のせいなのか、決めつけることはできません
でも何かや誰かのせいにすることはできません
過去に捉われ過ぎると未来が見えなくなるからです
だからこそ新しい世代の私たちは
ここに立ち、約束します
あなた方の歴史を大切にしつつ復興を行うこと、
あなた方には瓦礫しか残されなかった中、その土から城を築くこと
あなた方の手を取りつつも必要となればその手をそっと戻すこと、
あなた方の翼が回復する間、私たちの翼をお貸しすることを
私たちはここに立ち、約束します
世界は崩壊していません
バランスは崩れていませんし、街も壊れていません
世界は白黒はっきりつけられる訳ではありません
どんな課題でもはっきり見える訳ではありません
でも私たちはここに立ち、約束します
熱意を持って私たちは
東北の未来を明るいものにすべく闘います
一つお話をさせてください
この話はまだ始まったばかりです