TOMODACHI世代:高橋 愛実
高橋 愛実 (たかはし めぐみ)
宮城県大崎市出身、2014年から地域で障がい当事者が中心となり障がい者をサポートしている、東北地方で唯一の団体、CILたすけっと(宮城県仙台市)に勤務。現在施設から自立して、介助者を利用しながら生活をする。2015年夏、TOMODACHI一般基金の支援の下、全国自立生活センター協議会(JIL)が企画・運営した「TOMODACHI ADA Lead On! ツアー」に参加し、日本全国で自立支援に取り組む若手障がい当事者と共に渡米し、ADA(障がいを持つアメリカ人法)の施行から25周年を記念した、カンファレンスに参加したほか、米国人障がい当事者と様々な交流プログラムに参加した。
2015年11月8日にTOMODACHI世代サミットで高橋氏は140名ものアラムナイで以下のスピーチをしました。
みなさん、こんばんは。わたしは、日本の北にあります宮城県仙台市からきました。宮城県で唯一の障がい当事者の自立を支援するセンターであるCILたすけっとの高橋愛実(たかはしめぐみ)と申します。
CILはCenter for Independent Living の略です。私はこの夏、TOMODACHI ADA Lead On!ツアーに参加しました。本日は皆様に私のTOMODACHIプログラムでの経験や、取り組みについてお話させていただく機会を頂戴し、大変光栄に思っております。
また、沢山の私の新しい“TOMODACHI” 同じようにTOMODACHIプログラムに参加した皆さんとお会いできるのを大変愉しみにして参りました。わたしは、生後まもなくして障がいが発覚しました。徐々に筋肉が衰えていくウェルドニッヒ・ホフマン病で、幼い頃から歩くことができず、車椅子の生活でした。好奇心旺盛で友達と遊ぶのが大好きな子供で、外に出かけることも大好きでした。
小学校と中学校は一般の学校へ進学し、健常者の子たちと一緒に同じカリキュラムを受けて学校生活を送っていました。学内でのサポートはほとんど先生方や同級生がしてくれたため、両親は登下校時の送迎のみでした。このように幼い頃から健常者の中で生活していたため、障がい者の中に中に入ることにとても違和感を感じていました。
自分の障がいを受け入れたくない感情があったからです。
しかし、思春期に入ると段々と周りとの違いに気づくようになり、周囲の目を気にするようになりました。そこから中々自分の意見を言えなくなったのを覚えています。
高校からは、親元を離れて施設へ入所しながら、隣接している特別支援学校の高等部へ進学しました。その時期から障がい者の世界に入っていきました。障がいを持ちながらでも好きなことに挑戦している方々の姿をみて、わたしもやりたいことにどんどん挑戦していこうという思いになりました。
その時に今所属している団体である「CILたすけっと」と出会うことができました。CIL-自立生活センターは、障がい当事者自身が地域で生活し、健常者と同じように施設ではなく、一人暮らしをしたいと願う障がい者をピアサポートしていくセンターです。この理念を聞いた時に、自分も地域で生活したい、病院から地域に出たい、と強く思うようになりました。
その後通信制がある福祉系の大学を卒業し、より深く障がいのある方々と関わりたい、との思いが強くなりました。そして一人暮らしをしたいとの思いも更に強くなり、2014年3月に地域での自立生活をスタートさせました。
この度、CLIの全国団体との繋がりから、7月末に開催された「TOMODACHI ADA25 LEAD ON! TOUR」に参加させていただきました。わたしはTOMODACHIプログラムへの参加に辺り、3つの目標を持ちながら渡米しました。1番目に「世界初の障がい者差別禁止法が制定されたアメリカの地域性を肌身で感じること」、2番目に「若手当事者の発掘方法を学ぶこと」そして最後に「女性リーダーの方々や障がい当事者の方々とお話をすることにより自分をエンパワメントさせたい。」という目標です。
アメリカでは、バリアフリーが充実している環境や、障がい当事者の方々のリーダーシップなど、様々な面を見ることができ、わたし自身もエンパワメントさせられました。人の温かさや、人として見てもらえてるという確かな実感が感じられました。しかし、その反面で課題もたくさん見られました。
介護保障の面や人種差別など、皆さんのお話を聞くにつれて、アメリカでも同じように沢山の課題がある、発展途上なのだと思いました。街を観察してみると、日本のように介助者を連れている人をあまり見なかったり、若い当事者は地域に出ているけれど、年配の方々はあまり見ませんでした。そんな日米の違いの気付きもありました。
また実際に渡米し、制度面の違いを改めて実感しました。アメリカは、人権保障の国。日本は、介護保障の国。それぞれに利点と課題があると思います。
これらの学びから、わたしはそれぞれのいいところを補いながら、相互補完的に捉え、これから制度を作っていくこと、充実させていくことが今後日本にもアメリカにも求められるのではないだろうかと思います。そして、その担い手は他の誰でもない、私たち若手の当事者です。
みなさん、日本で来年4月に障害者差別解消法が施行されることはご存知でしょうか?この法律は、xxxxxxx
施行に伴い、私たちは、現在課題となっているさまざまな差別に関して意見をまとめています。
その際重要なポイントとなってくるのは、権利保障を重視していくところだと考えています。私は渡米して、アメリカでは「一人の人」として見てもらえることを実体験しました。この「人としての権利」をを踏まえ、大前提として制度を作っていくべきだと考えます。
今回私はTOMODACHI ADA Lead On!ツアーに参加して、自分自身についても沢山学びを得ました。自分に足りない部分にも気付き、TOMODACHIを通して、エンパワメントさせられました。自分に自信がなく、自分の言葉で発言が中々できない。そのため、積極的に動くことに戸惑いや不安がありました。
しかし、今回渡米したことで、「分からないなりに進んでもよいんだ」、「少しずつ自分を信じていこう」、と思うきっかけとなりました。そして、私には全国に、そして全米に仲間が、TOMODACHIがたくさんいる、ということも実感しました。
まだ、悩むことはたくさんあると思います。そんな中でもわたしなりに進んでいき、自信を付けながらCILの活動を通して、次世代のリーダーへ向けて前に進んでいきたいと思います。
最後に会場にいるTOMODACHIアラムナイの皆さん、私たちの活動を支えて頂いている企業、関係者の皆さん、これからより良い社会にしていくために是非、障がい者とどんどん関わってください。関わることによりお互いを知ることができる。コミュニケーションを取るこことで、お互いの距離が縮まる。それこそが障がい者も健常者も、老若男女も区別なく、共に支え合える社会になるのではないかと思います。
わたしは、そのような社会を実現するように、TOMODACHIアラムナイの一員として、今後も活動していきます。
ご清聴ありがとうございました。