TOMODACHI世代:高木香奈
慶應義塾大学3年(2015年3月時点)
好きな色:白色、青色
好きな食べ物:海鮮丼、チョコレート
留学経験:WPワグナー高校1年間、カナダアルバータ―州エドモントン
好きな映画:ビッグ・フィッシュ、フォレスト・ガンプ
――――ひとりで見る夢はただの夢、みんなで見る夢は現実になる。ジョン・レノン
私たちはTOMODACHI世代として、どんな未来を描き作っていくのだろう。
男子学生の一言でTOMODACHI Metlife Women’s Leadership Program (TMWLP) に応募した私はプログラムの参加者として選ばれました。このプログラムは、10か月間にわたるメンタ―シッププログラムで、私の参加した2013年の第一期は東京・大阪、第二期は福岡・那覇4都市に拡大し、女子大生と若手女性リーダーがペアを組み、次世代の日本女性リーダーのネットワークを作ります。プログラムは更に、学生全員をワシントンD.C.とニューヨーク市に運び、アメリカの政府、企業、非営利団体など各分野で活躍する女性リーダーたちの講演を通し、失敗やリスクを恐れず挑戦することや自信を持つことの大切さを肌で感じる機会が与えられます。
このプログラムに参加したことで私は、リーダーとは人々を輪の中へ巻き込んで行ける人々なのだと気が付きました。一人一人のリーダーの方は優秀で、たくましく、輝いて見えたので、この気付きは私にとって少し意外なものでした。しかし、世界を変えていく人であればあるほど周りからの「信頼」を獲得しており、彼女たち自身がチームを信頼し、一人で行う以上の成果をチームとして生み出すことができているのだと知りました。まだまだ日本にはこのようなリーダーシップトレーニングが受けられる機会は稀です。私にとってこのプログラムは全く新しい旅の始まりでした。
TOMODACHIでインターンシップをしていると多くのアラムナイの方がTOMODACHIプログラムの経験を「人生を変えた経験であった」と語ります。私は更に、その強みとは、人生を「変える」経験になることなのではないかと考えます。TOMODACHIプログラムは決して人生の良い思い出では終わりません。プログラム終了後、全員が現在では4000名を越えるTOMODACHI世代の一員となります。私たち一人ひとりは日米交流に対してどのような貢献を果たしたいのか真摯に向き合う人々のネットワークの一つのピースになるのです。
2014年4月私はTOMODACHIアラムナイとして、オバマ大統領来日の際スピーチを間近で聞き、直接話をさせていただきました。スピーチでオバマ大統領が気候変動などの環境問題に対する世界全体での協力の必要性を説かれた際、私自身のTOMODACHI世代としての貢献の糸口を見つけました。環境問題は個人、または一カ国のみで取り組もうとしても多くの効果は見込まれません。世界が一丸となって取り組まなくてはいけない問題だからこそ、TOMODACHI世代の私は、世界中の人と共に一歩でも前に進むプロセスに携わりたいと思うようになりました。大統領に、「私夢を見つけました」と伝えました。握り続けてくださった大きな手から伝わる温かさから前に進む勇気と力が伝わりました。2015年3月には、ミッシェル・オバマ夫人も初等教育の受けられない女の子のためのプロジェクトLet Girls Learn推進のために来日されました。先進国の米国と日本の協働で世界をよりよく変えていくことができる、しなければいけないと多国間協力の可能性を強調しました。
2014年9月から私はTOMODACHIイニシアチブでインターンをさせていただいています。インターンシップでは、各イベントのお手伝いをしたり、参加者リストを作成したり、アラムナイに会い今どんなことをしているのかお話を聞いたり、ハイレベルなカンファレンスなどを通して自分のネットワークを広げることもできます。
私自身のインターンシップのテーマは、「信頼貯金」を貯めることです。その日、一日一日ただタスクを行うだけでなく、帰る際には何を成果物として残すのか考えながら少しづつ「信頼」の蓄積していくことを目指しています。インターンシップは自身の成長を実感することのできる、失敗から学ぶチャンスを与えていただける場です。
TMWLPのプログラムに参加してからちょうど一年後、メットライフ生命保険株式会社によって開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW! Tokyo 2014)」に出席させていただきました。何百人とオーディエンスのいる中で、パネリストに対し「リーダーを育てるにあたり、日本社会の強みとは何ですか」と質問をしていました。ほとんど無意識にしていましたが、イベント終了後、プログラムをずっと見舞もってくださっていたのメットライフ生命保険株式会社、マリ・マシュー様より「すごく変わったね、一年前はあんなに静かだったのに」と言っていただき、一人ひとりを見てくださっていた嬉しさと驚きが込み上げてきました。
私はあまり前に前に出るタイプでもなければ、むしろ目立ちたくないと思うタイプです。高校時代1年間の留学経験はありますが、帰国子女ではありません。ただ高校時代、必死で英語の勉強をしました。もし、「自分の英語なんて…」と思っている人がいたら別の角度から物事を見て欲しいなと思います。それは「自分ってどんな人間なのか」考えるということです。私は帰国子女でない分、日本の教育制度の中で育ち、日本の家族の中で育ち無意識の間に日本人として生きて来ました。そして、日本で育って来たことを誇りに思い、今の自分を作ってくれたものだと感謝しています。しかしTOMODACHIでの経験を通して、アメリカに触れることで、新たな価値観に出逢うことができました。その学びや、米国に強く表れる感覚、例えばリスクを恐れないことや自分自身をしっかり見つめ直すことなどの感覚を大切にしていきたいと思うようになりました。自分について深く考えることができ、日本とアメリカの交流の素晴らしさを肌で体験することができたのがBuilding the TOMODACHI Generationでの経験です。
Building the TOMODACHI Generationは、2015年2月にワシントンDCにて2週間開催されました。米国において非営利団体というセクターがどのような役目を果たし、何が社会から期待されているのか、政府・民間・他のNGOなどとどのように関わり合い活動しているのかなど、日本では決して学ぶことのできない講義を受けました。東日本大震災以後、阪神大震災の時にも見られたようなボランティア革命、NGO団体の役割の重要さは指摘されてはいるものの日本における非営利組織の基盤は脆弱なものです。米国のシビルササエティー(市民社会)が日本にそのままそっくり適応できる訳ではありません。しかし、BTGプログラムはまさに両国の未来のリーダーのネットワークそのものでした。参加者の中にはこれから政府で働く人、企業に勤める人、まだまだ1年生で医者を目指している人などまさにクロスカルチュアルな環境でした。
私はこのプログラムを通して、日本で何かを変えたい!と強く思っている人をサポートできるようなnon profitセクターの基盤を作りあげたいと考えるようになりました。なかなかすくい上げられない声が日本にはまだまだたくさんあります。しかし、日本における市民社会は婦人会などの草の根団体が大多数を占めます。しかし、今の日本に必要とされているのはNGO/NPOをはじめとするアドボカシー団体です。間違っていると思うことを、そのままにせず取り組みたいと思っている人がたくさんいます。人々の熱い思いがあるにも関わらず、non profitセクターを支えられる基盤がありません。Non-profitセクターの運営も、ビジネスや政治と変わらずサイエンスなのです。きちんと学び、日本の状況に応用させて学び、制度を確立していく必要があります。私はアメリカへ行き、それらを学ばさせていただいた数少ない日本人の一人です。今後も日米関係の間に身を置くことで、多くのことを学び、ネットワークを広げることで、最終的には日本社会に還元したいと考えています。
安倍首相とオバマ大統領は、2014年4月、日米共同声明にて日米二国間交流に関する首脳声明を発表しました。声明には、「日米関係の将来にわたる強さを確実なものとするため,(中略)2020年までに双方向の学生交流を2倍にするとの目標」が示されており、更に「日米間の幅広い人的交流は,日米同盟の創設以来,その支柱となっている」としました。人的交流、つまり「人と人との繋がり」は、すぐに目に見えるものではありません。しかし、私を含め日米関係の構築に尽力している人々は強くこの「人と人との繋がり」の可能性とその確かさを信じています。Building the TOMODACHI Generationを通してその人と人との繋がりを肌で実感することができました。寝る間も惜しんで作り上げたプロジェクトとプレゼンテーション、すべてを成し遂げた際のチームメンバーの表情は、たくましく、優しい「以心伝心」を実感した瞬間でした。双方の尊重と同じゴールへ向かうという気持ちで、アメリカの文化からも学ぶことができ、日本の文化も自然とチームに染み込んでいたのではないかと思います。
最後に、私の好きな言葉を紹介します。
――――人生はチョコレートの箱のようなもの。人生がどうなるか誰にもわからない。フォレスト・ガンプ 一期一会
誰にも人生がどうなるのか分からないならば、自分の人生を作っていくのは私自身です。まだ知らぬ、これからの出逢いに既にワクワクしています。今後も
TOMODACHIが私にもたらしてくださったすべてのことに感謝し、また自身は何ができるか常に考えることを約束します。