プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:コリン・ティマーマン氏
コリン・ティマーマン氏は、米下院外交委員会アジア太平洋小委員会の委員長であるテッド・ヨーホー下院議員(フロリダ3区)の下で外交と国家安全保障を担当する立法担当秘書を努めています。これまでには、チャック・グラスリー上院議員(共和党・アイオワ州)とジェフ・フレーク前上院議員(共和党・アリゾナ州)の下で外交と司法を担当しました。ティマーマン氏は、東アジア問題と日本語の分野で学歴と職歴を積んできました。2017年にシカゴで開催された第5回TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議に参加し、2018年に東京で開催された米日カウンシル・アニュアル・カンファレンスにはTOMODACHI Youth Leader Participantとして参加しました。同氏はアイオワ州出身で、ドレイク大学ではデータ分析、東アジア研究、日本語を副専攻とし、政治学の学士号を取得しました。
このインタビューは、2020年8月23日にTOMODACHIアラムナイ ・インターン(2020)の三原黎香(東京)によって行われました。
Q1: 2年半のキャリアを通じて、政治に関して気がついたことを教えて下さい。
アメリカの政治制度の優れた点は、あらゆる人に開かれていることだと思います。1人の母親から、ハイレベルなロビイスト、連邦議会議員、そして高校生に至るまで、誰もが政治に関わることができます。政治には異なるバックグラウンドと経験をもつ大勢の人が関わっており、それぞれの観点が一体となって地域、州、そして連邦レベルの政策立案に生かされています。
選挙運動ではなく政策立案に関わるとすれば、他の人々、特に自分と異なる意見をもつ人々と効果的に協力することが不可欠です。私と毎週一緒に働く人たちとの間にも、少なからず意見の不一致があります。それでも私たちは協力し、最終的には共通の目標を達成します。それが、私たちの政府のあるべき姿です。残念ながら現在、二大政党の歩み寄りが一層難しさを増しています。公益のために、多様な考えをもつ人々と協力する意欲と能力を持った人々が新たな世代から大勢立ち上がり、政治に関わることを願っています。
また、政治に関わる際には、自分の意見だけでなく、自分の道徳的指針を明確に認識しておく必要があると思います。連邦議会議員の下で働く時、誰かに完全に賛成できることはありません。私も、この2年半働いてきた中で、誰かに100%賛成したことはありません。どの人とも、一定の意見の相違があります。しかし、相違より重要な目標は共通の土台を見つけ、協調し、合意に達することです。もちろん自分の信念も大切ですから、譲歩すべきでない時もあります。しかし政府は、双方の和解を助け、橋渡しをして、共通の行動に導く必要があります。ですから、私は議員の下で働く時、自分に問います。「効果的なサポートを提供するために十分な程度に、私はこの人の意見に賛成できるだろうか?」。私がこれまでサポートしてきた人について、答えはいつもイエスでした。そして、これから私が選ぶ全ての仕事について、イエスであると思います。
Q2: 私たちは、新型コロナウイルスの感染拡大で度重なる変化に直面しています。この困難な状況に、私たちはどのように対処できるでしょうか?
この問いには、様々なアプローチがあると思います。世界中で、このような急激な変化にどのように対処すべきかが議論されています。しかし、人間が変化に適応する力は強いと思います。今年を振り返れば、その適応力が発揮されてきたことが分かります。私は、この状況から脱する道を皆で見つけられると信じています。明日を実現するために、必要なことを着実に行っていくのが人間だと思います。
Q3: 日本に関心をもち、滞在した経緯を教えて下さい。
私が日本に関心をもったきっかけは大学1年生の時に遡ります。ほんの思いつきで日本の近代史の授業を受け、すぐに日本の歴史と文化、そして日本の近代に魅了されました。そして2017年に、兵庫県西宮市の関西学院大学に1学期間留学することに決めました。日本に住む間に多くを学び、その経験から多くの影響を受けました。
現在私は、米下院外交委員会アジア太平洋小委員会の委員長の下で、その経験を生がしながら働く機会に恵まれています。特定の地域や国に特化するなら、現地がどんな場所であるかを知り、そこに住む人々に直接会うことで、その地域についての本物の知識を養うべきだと思います。それにより、現地での経験を他の地域の人々に伝えることができるからです。ある国で生活することは、自分の視野を広げ、批判的思考力を磨き、外国に対する先入観を見直す助けになります。
Q4: TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議での経験について教えて下さい。
リーダーシップ会議に参加して、米日関係への関わり方には数多くの方法があるということに気づきました。軍事や防衛は、米日関係の一部の側面に過ぎません。科学、芸術、文学など様々な分野で、大勢の人がこの二国間関係に変化をもたらしていることを知り、驚きました。米日関係への携わり方に幅広い可能性があることは、素晴らしいと思いました。
異なるバックグラウンド、経験、意見をもつ人々と出会うことは、自分の世界観と考え方を大きく変えると思います。それは自分の従来の意見を強めることもあれば、覆すこともあります。これこそ、TOMODACHIプログラムでの経験で最も意義あることでした。世界中から集まった人は、それぞれ異なると同時に、素晴らしい共通点も共有していました。このような出会いの経験は、人間性をより豊かにするためにとても重要だと思います。
Q5: あなたにとってTOMODACHIとは何ですか?
私にとって、TOMODACHIは「Opportunity(機会)」です。TOMODACHIは、繋がりを作る機会だけでなく、キャリアを築きイノベーションを導くための機会でもあります。それは自分のコミュニティに貢献する機会であり、同時に外国で新たな関係を作るための機会でもあると思います。
TOMODACHIは、世界に前向きな変化をもたらす機会だと思います。たくさんの若者がこのムーブメントに参加していることは素晴らしいことです。
Q6: 日本にいながら、アメリカで今何が起きているかを知るためには、どんなことができるでしょうか?信頼できる情報源を見分けるために大切な事は何だと思いますか?
アメリカでは多くのことが起きているので、ニュースは尽きることがありません。大切なのは、どの情報源を選ぶかだと思います。様々なイデオロギーをもつ幅広い情報源を読むことをお勧めします。中には賛成できないニュースもありますが、そこにも役立つ学びがありますし、自分とは異なる意見を理解するトレーニングになります。
アメリカでの生活や政治について知るためには、アメリカにいる友人の考えを聞き、会話をすることも役立つと思います。彼らも日本での生活や政治についてもっと知りたいと思うかもしれないですし、そこから素敵な交流が生まれるでしょう。
誰でも各々の先入観を持っていますから、信頼できる媒体とそうでないものを見分けることはとても大切です。ニュースの信頼性は単純に判断できないこともありますし、分別のある人の間でも意見が分かれることがあります。しかし、人の自律性と批判的思考力は信頼に値すると思います。皆が、各自のために選択できることが重要なのではないでしょうか。
Q7: これから、どのように米日関係に関わっていきたいですか?
アジア太平洋地域に関わる問題、特に米日関係に携わり続けたいと思っています。米日の外交・防衛関係はこの地域にとって非常に重要です。また、外交レベルからインフォーマルな対話まで、人対人の交流の促進にも関心があります。米日関係はこれから大きく発展する余地を秘めていますし、私はそれに関われることをとても嬉しく思います。