達成感に満ち溢れる米国研修を終え、7名の看護学生が熱い想いを胸に帰国
2018年8月5日から16日まで、TOMODACHI J&J 災害看護研修プログラム2018の米国研修が実施され、7名の東北出身または在住の看護学生が、ニューヨーク市、ニュージャージー州、ワシントンD.C.を訪問しました。3都市を巡り、米国における医療体制と看護の概要、そして災害時や非常時における医療の役割、または看護師としての役割を学びました。また、これまでに米国で起きた災害の被災地を訪れ、当時の様子から現在に至るまでの多くの苦悩や復興の軌跡を肌で感じることが出来ました。
まずは研修序盤、本年度も2001年に起きた9.11同時多発テロや2012年に発生したハリケーンサンディの被災地を視察し、当時実際に現場を経験された方々から、貴重なお話を伺うことが出来ました。彼らは当時の悲惨な状況や個々が感じた生々しい感情、そしてこれまでの抱えてきた苦悩を、参加学生に共有しました。参加学生は、人災、天災に関わらず、被害を受けた人々の「喪失感」は万国共通であり、何にも堪え難い辛いものであることを学びました。そして、それを乗り越えるためには膨大な時間と人々の温かい『手』が不可欠であるということでした。看護師としてだけではなく、一人の人間として「寄り添う」というのはどういう事なのか、またそれが目の前で悲しむ人にとってどれだけの意味を持つ事なのかを切に感じることができ、これから自身たちがそうした場面に直面したとき、何が出来るのだろうと其々が真剣に考える、非常に意義のある時間となりました。
研修中盤からは主に実践ベースの様々な訓練を受けました。電車事故による多数傷病者事故を想定したトリアージ訓練や、災害時の病院を想定し、院内での優先順位を瞬時に判断するディスカッション形式のトレーニング、またMed Sled(医療用ソリ)を利用しての避難訓練や除染作業、そして実物を用いたGo Bag(避難用持ち出し袋)の講習から止血帯の使い方講習など、より実際の現場や状況を想定した演習に挑戦しました。何もかもが初めての連続で、戸惑いながら、時に涙しながらも、学生たちは懸命に取り組みました。日本では必ずしも同様に実施されていない事項や手法も、日本から随行した経験豊富なメンターの先生方の的確なフォローアップにより、貴重な知識と経験として学生らの大きな糧になりました。
そして、本年度も協賛企業であるJohnson&Johnson本社を訪問し、今回は新設された同社の博物館も視察しました。同社が設立当初から担ってきた医療と看護への惜しみない貢献と支援の歴史を学び、また未来の看護師らへ向けての期待と温かいエールを頂きました。また、全米看護学生協会の皆さんからもお話を伺い、学生の段階から培われている看護という職業に対する熱い想いと献身的な活動に刺激を受けました。
ここから学生たちは、米国研修で得た学びを自分たちのコミュニティに還元します。帰国後、プログラムの後半戦がスタートしますが、引き続き其々の熱い想いを胸に邁進することが期待されます。