東北出身の看護学生が米国で災害医療・看護、医療体制を学ぶ
「TOMODACHI J&J 災害看護研修プログラム2017」に参加している8名の東北出身の看護学生は、2017年8月5日から20日までのおよそ2週間に渡り、米国での研修に臨みました。米国では、ニュージャージー州ラトガーズ大学より2名の看護学生も加わり、ニューヨークから始まり、ニュージャージー、ワシントンD.C.の3地域を訪問し、災害医療・看護だけでなく、アメリカにおける医療体制や、現地での生活に準じた医療やケアなどについて多くの学びを得ることができました。更に、日本ではあまり直面することのない、多言語・多民族国家という米国社会の現実を様々な場面で痛感し、これから先自分たちは医療従事者としてだけでなく、まず一人の人間として相手の文化や背景、考え方を理解し、尊重することのできる、グローバルな視点を持ったリーダーシップの重要さを強く感じることができました。
ニューヨークとニュージャージーでは9.11やハリケーン・サンディの被災経験者の方々からお話を伺い、また参加学生たちも様々な場所で自らの経験を発表する貴重な機会を頂きました。そこで共通していたのは、その出来事が如何なるものであれ、被災した方や被害にあった方、何かを失った方の心には大きな穴が開き、それを言葉で表現できるまでにはかなりの時間がかかること、しかしながら、誰かと思いを共有しあうことで心が救われ、次に進む活力が生まれる、ということでした。事前研修でお話を伺った宮城県南三陸町の佐藤誠悦氏や佐藤敏朗氏からも同じお話を伺ったと振り返ることで、参加学生にとっても大きな気づきになったと共に、看護に携わる者として医療以外にもできることがあると改めて認識するきっかけとなりました。
また各所でシミュレーション形式の演習をする機会が多く提供され、より実際の現場に近い形で体験をすることができました。シナリオの設定も詳細で、実際に人を相手に演習をさせて頂く機会にも恵まれ、学生たちにとっては新鮮かつ大変貴重な体験となりました。しかしながら、どの演習においても、学生たちには、思うように動けなかった、対応できなかった、という強い『悔しさ』が残りました。この経験や想いが彼らにとって大きな動機付けとなり、今後自身の学びに対する姿勢や、将来の医療従事者としての自覚と新たな決意につながりました。
そして、本年度も引き続き、本プログラムの協賛企業であるJohnson & Johnson本社にて温かい歓迎を受け、同社の歴史から企業としての取り組みや、継続的な支援の重要性を学ぶ機会を頂きました。米国で活躍する看護師と看護学生の活動にも大変感銘を受けたようです。また、最終日前日にはChildren’s Nationalにて本研修のまとめとなるレセプションが開催されました。代表の学生3名が英語でスピーチを披露しました。各スピーチが終わるたびにスタンディングオベーションで、会場全体が感動の渦に巻き込まれていました。学生らもこの2週間を経て、自らの中に湧き上がった感情や思いが溢れて涙しながら互いの頑張りを称える姿が大変印象的な会となりました。
しかしながら、まだまだここはスタート地点。ここから彼らは自身の学びを元に地域やコミュニティに知識や経験を還元し、貢献する番です。次世代を担うリーダーとして、災害医療・災害看護の未来へを築き、革新的かつ持続的な活動に期待したいと思います。