Building the TOMODACHI Generation: Morgan Stanley Ambassadors Program -参加学生が市民社会や社会問題を考察
3月初旬に2週間の集中プログラムBuilding the TOMODACHI Generation: Morgan Stanley Ambassadors Programが終了しました。モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社の多大なる支援により実施されている本プログラムは、ワシントンセンターと日米研究インスティテュートがパートナーとして参画しており、ワシントンセンターは実施運営を担当しています。
本プログラムは、文化交流やリーダーシップの育成を通して、社会的問題解決のために、様々な分野を横断したパートナーシップのモデル構築について学ぶことを目的としています。今年は、9名の米国人学生と12名の日本人学生、計21名が参加し、パネルディスカッションや視察を通して、チームワークを強化し、異文化間の理解を深めました。
参加学生は初めに、講義やパネルディスカッションを通して、市民社会の理論や実践的な概念を学びました。また、日米両国における市民社会の役割について理解を深め、東北地方の社会問題の解決に応用する術を学びました。
続いて三つのチームに分かれ、市民社会の長所を生かしつつ、東北地方が直面している諸問題を解決するようなプロジェクトを考えました。参加学生はプログラムで学んだことを実存する社会問題に応用し、解決の糸口を模索しました。
最後に、三チームはワシントンセンターの施設で、それぞれのプロジェクトを審査員に発表しました。審査員には元米日カウンシルの職員で、現米国務省のローラ・ウィンスロップ・アボット氏(当時)、Center for Nonprofit Advancementのグレン・オギルビー氏、日米研究インスティテュートの内田勝一氏が務め、各プロジェクトを審査しました。
栄えある最優秀賞は、チーム「Mesa」が受賞しました。チーム「Mesa」が考え出したプロジェクトは、2011年に炉心溶融を起こした福島第一原子力発電所から車で一時間程離れたところにある福島県田村市に、ビジネス・コンシェルジュを導入しようというものです。2011年より経済成長が滞っている田村市の現状を打開する為、講義を受講する機会や、経済的な支援を提供することにより、近代技術に関連する新興企業の発展を支援し、中小企業で成り立つ持続可能なコミュニティーの創造を目指します。
他のチームも、審査員から高い評価を受けました。チーム「Mamagochi & Co.」は東日本大震災により宮城県を離れざるを得なくなった青少年のために、教育的及び社会的な支援を提供するネットワークの構築を提案しました。ネットワークを構築することにより、故郷から引き離されたことに起因するストレスや孤独、また自信の欠如などの問題の解決を目指します。
また、チーム「Land of Rising Stars」は、福島県会津若松市で農業を活性化し、放射能による風評被害を受けた農産物の信頼を取り戻すためのプロジェクトを計画しました。プロジェクト案では、地域のコープと協働し、新しい市場の特定や開拓、また地域の学校と協力して風評被害を撲滅するなどの計画が紹介されました。
プログラムの締めくくりとして、日本人学生は、帰国後、モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社で開催された事後報告会およびレセプションに参加しました。チーフ・アドミニストレイティブ・オフィサーのデイビッド・リチャーズ氏はモルガン・スタンレーの四つの企業指針、「顧客を第一に」「正しいことをする」「卓越したアイディアで主導」「還元する」を紹介し、その後のQ&Aセッションでは企業指針に関し参加学生から鋭い質問が出るなど、実りのある会となりました。
学業やキャリアにこれから応用できる新しいスキルを身に付けた参加学生は、それぞれの大学へ戻り、プログラムでの経験をさらに活かしながら、周囲へその経験を還元していくことが期待されます。