ビル・ナイが語る「科学は地球を救う」
米国で放送されていた科学教育番組「Bill Nye the Science Guy」の司会を務めていたことで有名な科学者、ビル・ナイ氏が8月6日に日本科学未来館(東京都江東区)にて、「科学は地球を救う」と題した講演会をを開催しました。当日会場には300人近くの日米の高校生、大学生が集結し、ナイ氏がこれまで日本で実施した中でも、最大規模の公開イベントとなりました。講演会の冒頭では、日本科学未来館館長で過去に2回NASA(アメリカ航空宇宙局)スペースシャトルミッシォンに参加した宇宙飛行士、毛利衛氏が開会の挨拶をしました。
ビル・ナイ氏は現在、民間宇宙科学団体 The Planetary Society (惑星協会)のCEOを務めています。講演では未来を担う日米の若者達に期待される科学技術革新について語られました。ナイ氏によると30億年前隕石は頻繁に地球を衝突していたとのことです。また、恐竜の絶滅と隕石の因果関係について触れ、会場の高校生、大学生に人類が恐竜と同じ運命に遭わないためにも、科学者になり、隕石の衝突から地球を防ぐ技術を、是非開発して欲しいと述べ、「我々はそれ(隕石の衝突)が再び起こることだけは避けたい」と強調しました。さらに、ナイ氏は米国の学校教育課程で、科学が重要視されていないことを危惧していると述べました。講演の後半の質疑応答では、女性が科学、技術、工学と数学といった分野に進出することについて触れました。ナイ氏は、「人口の半分男性、半分女性で構成されている地球で、理系分野でも同様の比率が実現する日が来ることを信じている」、と前向きにコメントしました。
講演後ナイ氏はステージを使い、空気の動きを視覚化する実演も行いました。段ボール箱の中に煙を溜め、箱を叩いて振動を与えることで渦状に空気が出てくる「エア・ボルテックス」の実演です。日本では「空気砲」とも呼ばれていますが、これを使いドーナツ型の煙を吹き出しながら観客を楽しませてくれました。
ひねりの効いたユーモアと遊び心を刺激する学習方法で、ナイ氏は高校生、大学生に科学を志す楽しさを語りました。誰もが科学を使い、世界に貢献することができると述べ、明るい未来像を生徒に語りました。
本イベントは米国大使館、アメリカ国立科学財団、アメリカ航空宇宙局と日本科学未来館、米日カウンシル−ジャパンの共催、公益財団法人東芝国際交流財団と読売新聞の後援で実施されました。