「TOMODACHI世代の構築」プログラム、盛況のうちに終了
2014年2月28日、TOMODACHI世代の構築プログラムがワシントンD.C.にて閉幕しました。ワシントンセンターと日米研究インスティテュ
2月16日、東京の雪による大混乱の中、日本人参加者は無事アメリカに到着しました。17日に3つのパートナー団体の代表者―ワシントンセンター(マイケル・スミス)、日米研究インスティテュート(以下USJI)(阿部義章)、米日カウンシル(アイリーン・ヒラノ・イノウエ)―からそれぞれ日本人参加者をプログラムそしてアメリカに歓迎するオープニングリマークがありました。スピーカーやスタッフたちは参加者たちとグループになり、彼らのこれまでの経験、アメリカで関心のあること、このプログラムに寄せる期待について聴くことが出来、彼らの能力の高さに驚いていました。更にアメリカ側の参加者たちは、日本や日本文化に対する予備知識はあまりないものの、日本人参加者たちと打ち解け、日本の事を知りたいと強く思っているようでした。2つの国からの参加者の絆は2週間を通してどんどん深まっていきました。
本プログラムは政府・ビジネス・NPOセクターからそれぞれ専門家を招き、クロスセクターの連携を利用して社会問題やコミュニティの問題を解決した経験について話すセッションを設けました。スピーカーには米日カウンシルスタッフや地域のエマージングプログラムリーダーたちがいました。学生たちは団体・企業そして政府機関を訪問し、これらの仕事がなされる方法と環境について直接学びました。またアメリカ式のビジネスについて学ぶプロフェッショナル能力開発ワークショップにも参加しました。グループプロジェクトやプレゼンテーション準備に先立ち、週末にはメリーランドの屋外リーダシップトレーニング場にてチームビルディングのためのワークショップが行なわれました。プログラムの終盤、参加者たちはTOMODACHI世代であるとはどういうことか、日本に帰国後、どのようなアイデンティティを持って生活していくかということを話し合いました。参加者全員で協議した結果、以下のTOMODACHI宣言が完成しました:
「TOMODACHI世代の一員として、我々は絆を深め、よりよい市民社会の実現のためにリーダーシップを発揮し、セクターを超えたパートナーシップを構築していくことを誓います」
学生たちの多文化ネットワーク構築スキルを強化するため、日本大使館が日米関係のリーダーたちを招き旧大使公邸でネットワークレセプションを開きました。支援企業の代表者(トヨタ自動車、三菱商事、日立製作所、モルガンスタンレー)そして米日カウンシルのメンバーが出席しました。学生たちは日米混合の4チームに分けられており、プログラムはチーム毎のプレゼンテーションで締めくくられました。各チームは東北にフォーカスした市民社会ベースのイニシアチブ/プロジェクトを提案し、USJI主催のUSJIウィークにて発表することをタスクとして課せられていました。USJIメンバーの 大畑ローレンと篠宮有輝がプロジェクトコーチとして、自らの経験を踏まえプロジェクトにアドバイスを与える役目を果たしました。USJC代表の森エジソンはUSJIプレジデント内田勝一とクリストファー・ジョセフ・クック(TWC:キールポイントアドバイザーズ)と共に、プレゼンテーションのジャッジを行ないました。最終発表で選ばれた2チームは、チームのアメリカ人参加者が2014年8月に日本で日本人参加者と合流し、東北を訪問し現地でクロスセクターパートナーシップについて学ぶと共に地域の人々に直接自分たちのアイディアをシェアできるということで、どのチームも意気込んでプレゼンテーションに臨んでいました。
経験を共有することで地域をつなぐ移動式の車両から、大川小学校跡地における博物館建設まで、どのチームも熟考を重ねた革新的なプロジェクトを提案しました。彼らがプログラムを通じて学んだことを活かしたことは明白でした。上位2チームが発表されたとき、参加者たちは抱き合い涙を流したことは、2週間での変化と成長を物語るものでした。クロージングランチでは各参加者がプログラムの感想を語りました。アメリカ側の参加者のひとりは、過去にもこのようなプログラムに参加したことがあるものの、これほどまでに他の参加者と絆を深めたり、彼らから学んだプログラムはなかったと語りました。ある日本側の参加者は、今回の2週間のプログラムを踏まえて、今後日本で引き続きプロジェクトに取り組みアメリカ側と協力していくのが楽しみだと語りました。
日本人参加者たちはワシントンD.C.から東京に戻り、3月3日、東京アメリカンセンターにて発表そしてレセプションに参加しました。
「TOMODACHI世代の構築」プログラム参加者がプロジェクトを発表し経験を共有
2014年3月3日、ワシントンD.C.での2週間のプログラムを終えた16名の日本人大学生が東京アメリカンセンターに集いました。学生たちは、12名のアメリカの大学生と共に、リーダシップスキルと市民社会について学ぶカリキュラムをこなしました。生徒たちはアメリカで自分たちが考えたプロジェクトのプロポーザルを寄付者、大学、U.S.ジャパンインスティテュート(以下USJI)、ワシントンセンターそして米国大使館の代表者らの前で行いました。
TOMODACHIイニシアチブ代表、ローラ・ウィンスロップ・アボットとUSJIプレジデントの内田勝一氏がそれぞれ冒頭の挨拶を行い、プログラムへの参加によって学生たちに自信が培われたこと、本プログラムで得られた成果を今後長きに渡り享受していくであろうことが語られました。続いて「TOMODACHI世代の構築」という題名のもと、ワシントンセンターマネージングディレクターのリンダ・コットン氏がプログラムの概要と共に学生たちを紹介しました。最も大切なことは、学生たちはそれぞれの育った文化に基づき、異なるアプローチで問題に取り組んだということであると彼女は説明しました。「彼らは真の次世代のリーダーです。自らのコンフォートゾーンを抜け出し、新たなことに挑戦しました。そんな彼らと共にこのプログラムを行うことができて光栄です。」と彼女は語りました。
生徒たちは4つのプロジェクトを発表しました。プロジェクトはすべて東日本大震災後の復興に目的をあてたものです。プロジェクトのアイディア、タイムライン、予算、宣伝方法は全て日米の学生たちが相談して決めました。西尾香はキボウモービルを提案しました。移動式の車両でコミュニティの人々の経験を聞いていくこのプロジェクトは3.11の経験を他のコミュニティと共有し、ひとつの大きな物語へと統合することを可能にします。小林明日香は提案したキズナプロジェクトのミッションを、家をつくることであると説明しました。このプロジェクトは東北でホームステイをしながらチームワークを学び地域のNPOと提携し家を建てる学生向けの2週間の教育プログラムを開催するというものです。山東典晃はオペレーションサクラレンズという、学生のフォトジャーナリズムへの関心を高めるプロジェクトを発表しました。学校にカメラマンを派遣し、震災について生徒たちの思いを集めドキュメンタリーにするというものです。川嶋紗由美は大川学校の校舎跡地に3.11博物館を建設する案を発表しました。これは東北に博物館をつくることで、思い出を保存し人々の思いをつなげていくという思いが込められています。
モルガンスタンレーMUFG証券、マネージングディレクター社長室長のサップスフォード・ジェ氏イは自身が日本とアメリカで育った経験も踏まえ、「皆さんが本プログラムで学んだスキルは、今後の日々のキャリアで役立つものです」と、プログラムへの支援を改めて強調しました。
選ばれた2つのプロジェクト、キボウモバイルとキズナプロジェクトのチームは夏に来日するアメリカ側の参加者たちとより踏み込んだ話し合いを行います。
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TOMODACHI世代の声
プレゼンテーション後、16名の学生はそれぞれプログラムでの経験を共有しました。
参加者は皆自らのリーダーシップを発揮し、いいプログラムをつくりあげることが出来ました。人生の転機となるプログラムでした。ー山東典晃、筑波大学
TOMODACHI世代の一員として、日本、アメリカそして世界を変えていくことが出来る、心からそう思います。ー小林明日香、慶應大学
これから企業で働くにあたり、市民社会に力を与えていきたいと強く感じました。ー西尾香、同志社大学
渡米する前、アメリカのことは教科書を通してしか知りませんでした。今はアメリカと日本が新たな可能性を創造するために協力していけると信じています。ー中村匠、早稲田大学
真のリーダーとは人々を導くだけでなく、人々の話を聞ける人です。私たちにとって共に作業し、互いの話を聞く機会はとても貴重な経験になりました。ー川嶋紗由美、立命館大学