日米の社会的養護の当事者が両国で交流し、リーダーシップを育む
2018年7月下旬から9月の下旬まで、「TOMODACHIフォスターユース・リーダーシップ・プログラム」が実施され、社会的養護の当事者の日米のユース(若手)計12名(アメリカ人ユース:7名、日本人ユース5名)がお互いの国を訪問し、両国で「社会的養護と移行期」をテーマに、様々な交流や視察が行われました。
まず2018年7月31日から8月12日に渡米した日本人ユースは、米国の社会的養護の制度の中でも、とりわけ地方における当事者を対象にした教育・就労・精神衛生・自立準備のサービスについて学んだ他、ワシントン大学で行われた「国際児童福祉合同勉強会」では、日米のユースが自身の社会的養護における経験を語り、日米の児童福祉と自立支援のシステムについて発表しました。また、日米ユースが企画したリーダーシップ・プログラムでは、自身の14歳から社会的養護を離れて自立するまでの数年間の軌跡をたどるワークショップを行い、メンバーたちはチームのミッションや今後の目標も作成しました。
日本人ユースメンバーのKMは、「今まで全く知らなかった社会的養護のもとで生活した人たちと交流できたことで、自分と似た境遇の彼らが、どんなに頑張っているかを知ることができた。それを知ったことで現在の自分の生活を見直し、新たに夢を持つことができた。また普段、一人暮らしをしている時には得ることができない、家庭的な温かみを感じることができた」と述べました。
9月14日から9月23日には7名の米国ユースが訪日し、静岡県でイベントを行ったほか、児童養護施設の職員や里親グループ、元厚生労働大臣や、議員などと活発な意見交換をしました。9月22日に東京で開催した「TOMODACHI-IFCA ユースサミット」には、児童養護施設や里親家庭で育った当事者や、里親、児童相談所の職員など100名以上が集いました。
米国チームのリーダーは、「TOMODACHI フォスターユース・リーダーシップ・プログラムが、日本とアメリカで関心を集め、あらゆる人たちが、この社会的養護という重要な問題について話し合いを始める原動力になっていくことを願っています。私たち、IFCAユースは、日米両国で啓発活動を続けて行く中で、ユースが自分の声をもつように勇気付けるだけでなく、社会的養護が、世界的なレベルで、協議・支援されるべきグローバルな課題だということを、明確に打ち出して行きたいと思います」と語りました。