「TOMODACHI J&J災害看護研修プログラム」: 事前研修を通し9名の看護学生が次世代リーダーとしての第一歩を踏み出す
6月24から25日、および7月8から9日の日程で、「TOMODACHI J&J災害看護研修プログラム」の事前研修が仙台で開催され、岩手・宮城・福島の3県出身の9名の看護学生が参加しました。
今年3年目を迎える本プログラムは、事前研修、米国研修、
事前研修の第1回目は、このプログラムに関わる全員が一堂に会する初めての機会となりました。まず1日目には、本プログラムの全体概要や目標の理解、また各自がプログラムを通して得たい、または達成したい事など、学びの目標を明確化する作業が実施されました。事前研修には、前年度のプログラム経験者(アラムナイ)3名も参加し、自身がプログラムで得た成果や学びについて共有しました。また、本年度の参加学生は米国研修中に予定されているスピーチを披露し、先輩であるアラムナイからアドバイスをもらいました。更に、プログラムにご協力を頂いている、東北大学 災害医療国際協力学の江川新一先生の講義を受講し、災害医療・災害看護について知識と理解を深めました。
2日目は東日本大震災の本質を知り、東北の今を知るため、宮城県の沿岸部に位置し、津波による甚大な被害を受けた南三陸町と石巻市立大川小学校跡地を訪問しました。南三陸町では、当時南三陸消防署の副署長として勤務されていた佐藤誠悦氏にお話を伺いました。当時、最愛の奥様を津波で亡くしながらも、不眠不休の救済活動にあたった佐藤氏は、当時の写真や映像を用いて、災害医療と災害看護に関してご講演いただきました。また、講演後には南三陸町内の様々な場所をご案内頂き、当時と現在の様子を比較しながら視察をしました。その後大川小学校跡地では、津波でご自身のお子さんを失った佐藤敏朗氏からお話を伺いました。跡地の中も詳しくご説明頂き、報道では知ることができない当時の様子を垣間見ることができました。お二方のお話はどちらも万人の心に訴えかけるものがあり、参加学生らは真剣にお話に耳を傾けながら、涙しました。学生の被災経験は様々ですが、今回の被災地訪問を通して、東日本大震災に対する全員の理解や想いが一つになりました。
事前研修第2回目は、米国研修の実施運営を担うChildren’s National Health Systemより、梅津健太氏とEmily Dorosz氏の2名を招聘し、主に米国研修へ向けての事前学習や準備に取り組みました。
まず1日目は、災害時を想定し、ゲームを用いたワークショップが実施された他、スピーチの練習を行い、磨きをかけました。また、事前課題で取り組んだエッセイを基に、『自分が学びたいこと、達成したいこと』を明確にする作業も行いました。メンターの先生にご指導を頂きながら、自身のビジョンや方向性をより鮮明なものにするため、議論を重ねました。
2日目は、米国研修のスケジュールや各訪問先、並びに米国における看護や医療の概要について学びました。特に米国における看護や医療の制度は日本と異なる点が多く、学生たちにとっても新しい情報となりました。また、米国研修での訪問先を一つ一つ全員で確認することで、渡米に対する実感がより一層湧きました。
2回の事前研修を通して、参加学生は、災害看護分野を牽引していく、次世代リーダーとしての第一歩を踏み出しました。米国研修は8月6日から20日の日程でニューヨーク、ニュージャージー、ワシントンD.C.で実施され、帰国後には事後研修が予定されています。