プログラム参加者・TOMODACHIアラムナイに聞いてみました!:ケコア・エーバー氏
ケコア・エーバー氏は、2017年にシカゴで開催された第5回TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議のアラムナイです。2018年には、東京で開催された2018年 米日カウンシル・アニュアル・カンファレンスにTOMODACHIアラムナイとして参加し、現在は米日カウンシルのアソシエート・メンバーでもあります。
彼は、ワシントンD.C.にある科学的心理学会 (APS)でガバメント・リレーションズのアソシエイトを務めています。APSは、科学的な心理学の発展を目指す国際組織です。アソシエイトとして、米国議会や連邦政府機関に科学政策の提言を行い、国際的な科学ニュースの報道に取り組んでいます。また、APS Observer誌において、日本の科学的心理学への政府の助成に関する記事などを執筆しています。デポール大学で政治学と心理学の2つの学士号を取得し、国際アジア研究を副専攻しました。デポール大学在学中には、沖縄と中国への2回の短期留学を経験。現在は、ジョージ・ワシントン大学でトランスナショナル・セキュリティを専攻し、安全保障政策研究の修士号取得を目指しています。
このインタビューは2021年9月30日に、TOMODACHIアラムナイ・インターン(2021)の田島桃子(福岡)によってオンラインで行われました。
1.アジアや日米関係に関心をもったきっかけは何でしたか?
私がアジアに興味を持ったのは、家族の系譜からです。私の親戚がハワイにおり、沖縄と中国には遠い親戚がいます。文化的な面でアジアに興味を持っていた私は、高校では歴史の授業、大学では国際関係論の授業を通じて、学問的な興味を持つようになりました。その後、私の関心は日本と中国の政治と安全保障に向かいました。私はアジアに対してとてもポジティブな見方をしていました。
また、子供の頃から、自分とアジアとの繋がりを感じてきたため、日本や中国の政治・安全保障をさらに追求したいと思っていました。そのためには、単にアメリカ国内で書物を読んだり、体験したりするのではなく、旅行や幅広い文化交流を通しての方が、より大きなインパクトが得られると考えたため、中国や沖縄への短期留学に参加することにしました。
留学では、学業面でも個人的にも私の関心と合致した有意義な経験をすることができました。学業面では、さまざまな大学を訪問し、各大学の短い講義に参加し、現地の学生と交流することができました。また、中国では彼らと一緒に研究論文を書き、沖縄ではアートプロジェクトを行いました。このような交流を通して、異文化理解や広い視野を得ることができました。短期間で多くの分野をカバーした、とても充実した包括的なプログラムでした。個人的には、沖縄と中国にいる遠い親戚に会い、繋がりを持つことができました。結果として、このプログラム後、安全保障や国際関係の分野における東アジアへの関心が一段と高まり、日米関係にさらに携わりたいと思うようになりました。そして、2017年にTOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議に参加することを決意しました。
2017年TOMODACHI大和ハウス学生リーダーシップ会議にて
(本人は前から2列目の左から4番目)
2.プログラムでの最も重要な学びは何でしたか?
このプログラムでは、同年代の友人だけでなく、産業界のリーダーなど、多くの素晴らしい方々と出会い、繋がることができ、ネットワーキングスキルを強化することができました。自身が高めたいと思っていたリーダーシップについては、グループごとに問題を解決するための解決策を皆で出し合い、協力しなければならない課題がありました。この課題では異なるアイデアをまとめ、仲間と協働する方法を学び、リーダーシップスキルの向上につながりました。
何よりも最も重要な学びは、自身が日米関係に貢献できる方法を見つけたことです。私には専門的な仕事と学術的な研究の両方で貢献することができます。以前は、日米関係について勉強したり、本を読んだりするだけでしたが、プログラムに参加したことで、この分野で自分が果たせる役割が見えてきたことが私にとっては素晴らしいことでした。さらに、自分の研究で学んだスキルを活かして、他の人の関心分野を見つける手助けができるだろうと思うようになりました。また、仲介者として、経験豊富な専門家に人々を繋ぐこともできると考えるようになりました。
現在、科学的心理学会(APS)のガバメント・リレーションズアソシエイトとして働いている私は、いくつかのプロジェクトで日本との関係を仕事に活かすことができました。APSの雑誌に、日本の科学的心理学に対する政府の助成金についての記事を書く機会があり、助成金の仕組みや、日本学術振興会・文部科学省の仕組み、そうした機関が科学研究を支援している方法を取材しました。また、日本のAPS会員にインタビューを行い、政府の支援や日本での研究費獲得の経験について聞きました。この仕事は、日米関係に関わることができた重要なもののうちのひとつです。
2018年に東京で開催された米日カウンシル・アニュアル・カンファレンスにて
3.学術面で日米関係に貢献できることを実感したことが、修士号取得を目指すことにつながったのでしょうか?
まさにその通りです。アジアへの短期留学とTOMODACHIプログラムを終えた後、安全保障問題についての理解を深め、とりわけ東アジア地域にさらに焦点を当てたいと強く感じました。また、アジアの安全保障や国際情勢に関する研究に貢献したいと考えていたため、修士号を取得することはとても役に立つと考えました。学部を卒業した後、就労経験も積みましたが、常に修士号を取得する計画は立てていました。
現在修士課程では、学部時代には深く学ぶことのなかった、トランスナショナル・セキュリティという分野を専攻しています。現在の学びは、安全保障についての理解を深めるうえで大変役立っています。日々の学び以上に、多様なバックグラウンドを持ち、同じ関心を有するクラスメイトと繋がることができるのは素晴らしいことだと思っています。彼らは、私に異なる視点をもたらしてくれています。
4.将来の目標を教えてください。また、今後の日米関係に関してはどのように考えていますか。
ガバメント・リレーションズや政策提言のスキルを高めるべく、今後もさらに米国の立法プロセスについて学び続けたいと考えています。これらのスキルは、重要かつ他の分野にも応用可能なものだと思いますし、私の研究を良い意味で補完してくれます。そのため、安全保障学の知識を研究に応用し、政府と協働してより良い政策を生み出す方法について理解を深めていきたいと考えています。
最も直近の目標は、修士号を取得した後、安全保障政策やガバメント・リレーションズ、アジアや日米関係への関心を自分のキャリアに活かすことです。
今後の日米関係については、TOMODACHIイニシアチブや米日カウンシルが主催しているようなプログラムや文化交流を継続することが重要だと思います。また、政府や大学が主催するプログラムでは、人々が集まり、関心のある分野での繋がりを深めることができます。例えば、科学技術の分野では、こうした繋がりが大きな成長を生み出しています。リーダーシップ研修や大学のプログラム、さらには政府間での協働は、人々が自国以外の人々をより深く理解し、心地よく交流できるようになる大きな一助だと思います。私は、より多くのTOMODACHIのアラムナイや米日カウンシルのメンバーを今後もつなげていきたいと思っています。
5.あなたにとって「TOMODACHI」とはどんな存在ですか?
私にとって、TOMODACHIはコミュニティです。共通の興味や関心を持った人たちの集まりを発展させることで、機会が生まれると思うのです。人間は、人と人との繋がりや友情によって、共通の関心事に取り組むことができます。そして、それが最終的には人々の集まりであるコミュニティを築くということなのだと思います。これまでTOMODACHIは私が参加してよかったと思えるコミュニティであり、これからも発展させていきたいと思っています。その思いが私の大きな力となり、TOMODACHIが私にとってコミュニティである理由だと思います。
6.これまでの自身の経験を振り返り、学生や若手プロフェッショナルにとって重要なことは何だと考えますか。
私の原動力は、自分の興味や視野を広げたいという強い気持ちです。この思いのおかげで、時間とエネルギーがある限り、機会を探して学び、参加し続けることができました。そのため、「到達したい目標を設定し、必要に応じて戦略を立て、調整する 」ことが重要だと思います。それだけでなく、「健康的なリラックス方法を見つける」こともお勧めします。時間とエネルギーには限りがありますから、やり過ぎないように気をつけてください。
また、コミュニティの重要性を述べたように、「積極的に人との繋がりを作り、米日カウンシルやTOMODACHIのようなプログラムに参加する」ことが大切だと思います。ひとたび人脈ができたら、そのコミュニティやネットワークを継続的に構築することができます。私がTOMODACHIプログラムで経験したように、多くの人と繋がることで自分のネットワークのスキルを高めることができますよ。