東北の看護学生が、米国で災害看護の実践を体験し帰国、未来への大きな一歩を踏み出す
今年が2年目となる、「TOMODACHI J&J 災害看護研修プログラム」に参加した岩手・宮城・福島の3県で看護を学ぶ学生12名とメンター3名が、2016年8月6日から21日まで約2週間渡米し、ニューヨーク、ニュージャージー、ワシントンD.C.を訪問しました。
今年は、ニュージャージー州のラトガース大学の看護学部生2名が、プログラムの全行程に同行し、看護という共通言語をもって、看護学生同士、言語や文化の違いを超えた有意義なコミュニケーションを図り、短・中・長期的な目標などについて語り合い、友好を深めました。
参加学生は米国滞在中、それぞれの東日本大震災の経験を伝え、またNYでは9.11やハリケーン・サンディの襲来にて被災した人々、また救助や避難のサポートに携わった人々の話を伺い、お互いの被災経験の共有をしました。語り合う事の重要さを学び、また、自然災害ばかりではなく、人災であっても、災害発生時における看護師の役割とその重要性を、様々な観点から学びました。
研修の折り返し地点でもある8月12日は、このプログラムのスポンサーであるジョンソン・エンド・ジョンソンの本社にて、同社の歴史や災害救助活動への取り組みを学ぶと同時に、アメリカの看護や医療機器の革新および継続的な支援の大切さを学びました。
ワシントンD.C.では、講義を聞いて知識を深める勉強からさらに一歩踏み出し、米国における様々な災害対処方法のうち、緊急時に患者を階段から搬送する訓練を体験しました。同訓練では、看護師、患者、それぞれの役をローテーションで担当し、患者立場での不安も実体験しました。また、感染症患者の院内での対応例として、エボラ出血熱発生時、実際に着用した防護スーツの脱着、放射線の測定方法、除染作業などの実務訓練をしました。最終日前日、小児科病院チルドレンズ・ナショナルでのレセプションでは、学生4名が代表して、英語でスピーチを行いました。短期間での準備、練習を経て、自分たちの被災体験から、今回このプログラムに参加し、今後どのような看護の道を目指すのか、それぞれが自分の言葉で力強く語り、会場から大きな拍手が湧きました。
米国研修は、看護学生にとって、たくさんの知識と経験を得ると同時に、日本国内、特に地元の現状に目を向ける良いきっかけとなりました。学生たちは、帰国後、これらの経験を持って、いよいよ、地元で自らアクションを起こしていきます。大きな初めの第一歩を踏み出した12名の看護学生は、実践と継続を目指し、次の一歩への準備を始めました。